No.60「LC-MSによるポリソルベートのプロファイル解析」

No.60 医薬分析特集号
LC-MSによるポリソルベートのプロファイル解析
Profile Analysis of Polysorbates by LC-MS

なぜいまこれが?

近年がん治療などに期待されているバイオ医薬品では、有効成分であるタンパク質の凝集を防ぐ安定化剤としてポリソルベート(PS)が添加されています。PSは多種の分子種で構成され、その存在比(プロファイル)はバイオ医薬品の開発や製造工程における有効成分の安定性に影響するため、バイオ医薬の安定化・品質管理に重要と考えられます。今回、高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)を用いたPSのプロファイル解析技術を開発し、ポリソルベート20(PS20)製品7種:A ~ Gにおけるロット間差を評価しました。

これがポイント!

PSの定性分析には、薄層クロマトグラフィー法(厚生労働省通知法)が用いられてきましたが、構成分子種ごとの詳細なプロファイル解析は困難でした。今回使用したLC/MSは、PSを構成する多成分のクロマトグラフィー分離が可能であり、質量情報から各成分の推定構造を得ることができます。

図1にLC/MSで分離したPSのトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示します。複数のピークが分離よく検出できることがわかります。また得られた精密質量数の解析から、PS20を構成する32種の分子種を同定することができ、その強度データを用いてPS20製品のプロファイルを評価しました(図2)。

図1 PS20 のTIC(代表として製品Aおよび製品B)
図1 PS20 のTIC(代表として製品Aおよび製品B)

図2 PS20分子種(32種)プロファイルの比較
図2 PS20分子種(32種)プロファイルの比較(代表として製品Aおよび製品B)
矢印は存在比で2倍以上差がある分子種を示す

図1に示したTICでは、同じような波形のため製品ごとの違いが確認できません。しかし分子種ごとの評価をした場合、図2に示すように製品AとBの比較では、一部の分子種で存在比が2倍以上の差となります。同じPS20でもメーカーによりプロファイルが異なることがわかります。本法はPSのロット間差や、メーカー間差、変性評価に適用できます。是非お役立てください。

本技術は、日本薬学会 第139年会(千葉)にて「LC/ MSを用いたPSのプロファイル解析」と題してポスター発表を行いました。

このページに関するお問い合わせはこちらから

  • お問い合わせ
  • ご依頼の流れはこちら

JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部