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No.70「【最新技術紹介】ISO規格による成形限界線図(FLD)取得試験」
JFE-TEC News No.70号 EVI(Early Vendor Involvement)評価技術特集号 記事一覧
【最新技術紹介】ISO規格による成形限界線図(FLD)取得試験
No.70 EVI(Early Vendor Involvement)評価技術特集号
【最新技術紹介】ISO規格による成形限界線図(FLD)取得試験
Test for Determination of Forming Limit Diagram (FLD) According to ISO 12004-2
なぜいまこれが?
自動車用鋼板の高強度化に伴い、冷間プレス成形の難度が高まっています。成形限界線図(FLD:Forming Limit Diagram)は材料の変形様式(ひずみ比)と限界のひずみ量を図示したもので、成形シミュレーション結果と比較して、割れ発生の可能性の評価に用いられます。
近年、成形シミュレーションの重要性が増し、成形限界線図をより高い精度で取得することが求められています。しかし、この試験には最近まで標準化された試験方法がなく、また、取得した成形限界線図と実際のプレス成形結果との対応も不十分であるという課題もありました。
これがポイント!
当社では、成形限界試験の国際規格であるISO 12004-2に従った試験を実施しており、ひずみ測定方法として画像相関法(DIC:Digital Image orrelation)を採用することで、破断に至るまでのひずみ量を高精度で取得できます。
図1に本規格で規定されている二つの試験方法1)の概略を示します。これまで当社では、世界的に最も広く実施されている中島法(図1a)のみを実施してきましたが、この度、Marciniak(マルシニアック)法での試験を開始いたしました。
Marciniak法は、中島法と比較して、摩擦の影響がないことに加えて、試験過程におけるひずみ経路が直線的となることが特徴です。図2に、中島法とMarciniak法で取得した980MPa級冷延鋼板の成形限界線図を示します。中島法は、原理上ひずみ経路が曲線的になるため成形限界線がズレることが知られています2)。Marciniak法ではこうした問題はなく、特に重要とされる成形限界線の最小点付近の限界ひずみを精度良く得られる方法とされています3)。当社ではお客様のニーズに応じ、両法での試験体制を確立しました。
プレス加工シミュレーションの高精度化や新規な鋼板の材料評価のために、成形限界試験の実施をお考えの際にはお気軽にご相談ください。
注釈: 1)ISO 12004-2:2021
2)J. Min et.al. International Journalof Mechanical Sciences. 2016, vol.117, p.115-134.
3)C.Butcher et.al. Journal of Materials Processing Tech. 2021, vol.287. https://doi.org/10.1016/j.jmatprotec.2020.116887.
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