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No.76「ULV-SEM技術が解明する材料微細組織、最表面構造」

No.76 物理解析の最前線特集号

ULV-SEM技術が解明する材料微細組織、最表面構造~極低加速電圧による究極イメージングと高感度分析~
Microstructure and Top Surface of Material Revealed by ULV-SEM Technique

なぜいまこれが?

高機能材料においては、機能発現のためにnmオーダーで構造を制御しているケースも多く、最表面や微細構造の観察・分析ニーズがますます高まっています。当社では、極低加速電圧SEMと高感度ウインドウレスEDX分析の併用により、材料最表層および極微小部の観察と元素分析に取り組んでいます。本手法により、汎用TEM等を用いなくても、nmオーダーの構造をバルクのままで、簡便に評価できるようになってきました。

これがポイント!

高機能薄膜材料の分析例として、Siウェハ上の酸化グラフェン(単層の厚み:約1nm)の観察と分析をおこなった事例をご紹介します。極低加速電圧(領域)である1kVの二次電子像で、Siウェハより暗いコントラストで酸化グラフェンが確認できます(図1(a) 黄色破線部)。表面敏感な1kVのまま、酸化グラフェンの主要元素であるCのマッピングをおこない、二次電子像でみられた酸化グラフェンに対応し、C強度が高いことが確認できました(図1(b))。また、二次電子像で暗いコントラストの箇所ほどC強度も高くなっており、酸化グラフェンが重なっていることが示唆されます。このように、像観察のみならず元素分析においても、酸化グラフェンの分布と厚み変化を捉えることに成功しました。一方、通常のウィンドウタイプのEDX検出器では、軽元素を含む低エネルギーX線に対する感度が低いため、基板と酸化グラフェンのC強度の変化を捉えることができませんでした(図1(c))。極低加速電圧での観察が可能なSEMと高感度な最新EDXを利用し、条件を最適化したことで実現した分析例となります。

従来のSEM観察、EDX分析ではわからなかった新たな情報をご提供し、お客様の研究開発の推進に貢献いたします。Web立会いで議論しながら分析を進めていくことも可能です。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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