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No.81「濃縮イオンクロマトグラフィーによる極微量フッ化物イオン(F-)の定量評価」
JFE-TEC News No.81号 化学分析の最前線特集号 記事一覧
濃縮イオンクロマトグラフィーによる極微量フッ化物イオン(F-)の定量評価

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No.81 化学分析の最前線特集号
濃縮イオンクロマトグラフィーによる極微量フッ化物イオン(F-)の定量評価
Quantitative Evaluation of Trace Amounts of Fluoride Ion (F-) by Pre-Concentration Ion Chromatography
なぜいまこれが?
イオンクロマトグラフィー(以下、IC)とは水溶液中の無機イオン(Li+, Na+, K+, Mg2+,Ca2+, NH4+, F-, Cl-, Br-, NO3-, SO42- ,PO43-など)を分離・定量する方法です。従来は、環境分野や医薬品、食品分野等で広く用いられてきました。一方、近年では、燃料電池や水電解による水素製造、半導体関連をはじめとした分野で、従来のIC装置(定量下限100 µg/ L)では定量評価が困難な極微量F-の分析需要が高まりつつあります。
これがポイント!
当社では図1に示す濃縮システムを連結した濃縮-IC装置を用いてF-を約100倍に濃縮して分析することで、1 µg/LオーダーのF-の定量評価を可能としました。
以下、濃縮-IC装置を水電解分野に適用して極微量F-の定量評価に成功した事例を紹介します。図2は今回の評価対象としたPEM型水電解装置の概念図です。装置中央の固体高分子膜(電解質膜)は電極間のプロトン交換機能およびガスバリア機能を担う部材です。高分子膜は装置の運転に伴い生成するラジカル(OH・等)との化学反応により分解して水素生成効率の低下など性能劣化を引き起こすことが知られています。この反応にはF-の生成を伴うため、装置排水中のF-濃度が高分子膜の劣化指標として用いられます。図3は水電解装置の組立後、コンディショニングを行った直後のアノード側排水のF-を濃縮-IC装置で分析した結果です。水素を生成する電解試験前から1 µg/LのF-の溶出が発生していることが分かりました。
図1 濃縮-IC装置の概略図 図2 PEM型水電解装置の概念図 図3 アノード側排水試料の分析結果
水電解分野に限らず、多様な分野のお客様の目的に対応した分析のご提案が可能です。是非お気軽にご相談ください。
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