JFE-TEC News
KTEC News
No.33 人口の造形美-溶接時に発生するスパッタ-
“KTEC News”は、旧・川鉄テクノリサーチ(株)が年4回発行していた小冊子です。バックナンバーとして掲載しておりますが、現在お取り扱いしていない製品・サービスの場合もございますので、ご了承ください。
写真の不思議な球体は、惑星か、はたまたサッカーボールのニューフェイスでしょうか?いずれでもなく、これは鉄鋼のアーク溶接中に発生し、周囲に飛散する微粒子「スパッタ(Spatter)」なのです。自然の造形美については様々に語られていますが、人工のしかも工業技術の中に思いもしない造形美を発見すると新鮮な驚きに出会うものです。
重厚長大型産業が盛んであった時代には、溶接の火花として勇壮な職場の雰囲気を伝える際によく利用されましたし、また以前は工場における火事の原因としてもよく挙げられたものです。このスパッタは、発生時の温度が1600℃以上で、粒径は、小は1/1000mmから大は数mmにまでおよびます。
近年の日本における溶接材料使用量は輸入品を含め、年間30数万トンでその中の約50%がガスシールド溶接での使用であり、それも100%CO2ガスが主体であります。この溶接法の場合、スパッタ発生量は使用したワイヤ重量の5%でありますから、年間にして約1万トンにも達し全て厄介物で様々な悪影響をもたらします。
その発生形態は、短絡開放時に発生するもの、アーク発生中の溶滴がごく短時間溶融池と接触する瞬間的短絡によって発生するもの、溶融池のガス放出にともなって発生するものの4種類に分けられております。
写真に見られる表面の凝固模様は、発生形態により溶融温度、質量効果、溶滴の再分裂等の影響で、凝固温度までの大気冷却中に千差万別に変化して得られたものです。
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