光学顕微鏡および走査電子顕微鏡による  炭素鋼の鋳造組織と圧延組織の観察

炭素鋼の鋳造されたままあるいは熱間圧延されたままの状態における金属組織は、鉄の低温における安定状態であるα-Fe(アルファ鉄)の結晶からなるフェライト相、および薄いセメンタイト(Fe3C)とフェライトの層が交合に重なったパーライト相で構成されている。このパーライト相は炭素含有率が高くなるにしたがってその量が多くなる。

左上の写真は炭素含有率0.13%の炭素鋼の鋳造したままの組織を、光学顕微鏡で観察したものである。この場合、凝固時にフェライト相が樹枝状に析出して生じた、いわゆるデンドライト組織が見られる。このデンドライト組織の間に見られる黒ずんだ部分がパーライト相である。

右上の写真は炭素含有率0.20%の圧延鋼材(SS400)の組織を、光学顕微鏡で観察したものである。この場合、鋳造によって作られたスラブなどの素材が高温に加熱され、塑性加工を受けたのち、徐冷される。そのために結晶粒が塑性変形の際に分裂して、加工以前の組織に比べて小さくなり、結晶粒の長軸が圧延方向に沿って並ぶ傾向がある。パーライト相はこのフェライト結晶粒の間を埋めるように分布している。またMnSなどの軟らかい介在物は圧延方向に引き延ばされ、圧延の方向に沿って筋状に配列している。

左下の写真は鋳造材のパーライト相の組織を、また右下の写真はSS400鋼の圧延材のパーライト組織を、電界放射型走査電子顕微鏡で、高倍率に拡大して観察したものである。いずれの場合もパーライト相に特有の層状組織の断面が見られる。

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