たくまざる造形の美-銅合金の金属組織

銅はその精錬が比較的に容易であったことから、その合金類は古代から多く使用されてきた。古くは銅と錫の合金である青銅(Cu-Su)が用いられた。その後、各種の金属の精錬が行われるようになり、現代に至って、黄銅(Cu-Zn)、白銅(Cu-Ni)、アルミニウム青銅(Cu-Al)などの合金が用いられるようになった。

銅合金の金属組織については、添加金属の濃度が低い場合は、純銅と同様な面心立法型の結晶格子をもったアルファ(α)相のみで構成されている。しかし、添加金属の濃度が高くなるにしたがって、その金属の種類によって異なった組織が見られるようになる。

Cu-Zn系の合金の場合は、亜鉛の濃度が33%を超えるとこのα相の他に、およそ45 50%の亜鉛を含む、体心立法型の結晶格子をもったベータ(β)相が現れる。Cu-Ni系の合金の場合は全濃度領域にわたって同じ面心立方型の結晶格子をもった固溶体が形成される。また、Cu-Al系の合金の場合は、アルミニウムの濃度が11%を超えると、このα相の他に、常温の焼なまし状態においては、Cu2Alを母体とする固溶体で構成されるガンマ(γ)相が現れる。

左側の写真は、60/40(Cu/Znの比)黄銅の押出丸棒の焼なまし組織であり、組織の大部分を占める塊状のα相の結晶粒と、その間を埋めるやや色の濃いβ相で構成されている。

右側の写真は、約7%のアルミニウムと約3%の鉄を含むアルミニウム青銅の焼なまし組織であり、組織全体がα相の結晶で構成されており、その組織内に灰色の小さな析出相が点在している。この灰色の析出相については、電子プローブX線マイクロアナライザー(EPMA)による元素分析の結果から、鉄とアルミニウムの合金相であることがわかっている。

これらの金属の中に広がる美しい紋様をじっと見ていると、ときには人の顔や鳥の飛んでいる姿にさえ見えることがある。自然が作り出すたくまざる造形の美というところか。

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