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No.36 グラファイト熱延鋼板の析出黒鉛中BN核のオージェ電子カラーマッピング像

“KTEC News”は、旧・川鉄テクノリサーチ(株)が年4回発行していた小冊子です。バックナンバーとして掲載しておりますが、現在お取り扱いしていない製品・サービスの場合もございますので、ご了承ください。

グラファイト鋼板はフェライトと微細な黒鉛で構成されるミクロ組織をもつ高炭素鋼板であり、軟質で加工性に優れているため、摺動部品やPbやSを合金元素とし、低温仕上圧延、冷間圧延、焼き入れといった処理を施し焼鈍することによりそのような組織が得られることが知られていたが、B添加により熱延後焼鈍するだけで、黒鉛粒径がさらに微細化した組織が得られ、特性が向上することがわかった。

1) その光学顕微鏡による組織写真を写真の左下に示したが、黒く分散しているものが黒鉛である。熱延時に鋼中のNと反応して生成したBNが、黒鉛と同じ六法晶で格子定数も近いため、黒鉛化の核生成サイトとして作用したためと推定された。

このカラー写真は、1μm以下の微小部分析の可能なオージェ電子分広報を用いて、析出黒鉛の元素分布を測定した結果である。青い部分はフェライト、緑は黒鉛、黄色はBNであることが示された。この黒鉛析出物は近接したBN核から成長した2つの黒鉛が結合したものである。研磨のままの試料は粒内にBNを観察できない黒鉛が多いが、表面をArイオンスパッターするとBNの出現確率が高まるので、黒鉛とBNのスパッター速度の相違により黒鉛中にあるBNが露出されたと考えることができる。

かくして、黒鉛の内部にBNが存在していることが示され、上述の仮説が実証された。これは、B,C,Nといった軽元素の検出に高感度で、微小分析の可能なオージェ電子分光法の特長が発揮された例である。2)

1) 河端ら:材料とプロセス、Vol.3, (1990) 754
2) 妻鹿ら:材料とプロセス、Vol.8, (1995) 583

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