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No.37 ステンレス鋼板上のTiおよびTiNコーティング膜に発生させた亀裂の観察

“KTEC News”は、旧・川鉄テクノリサーチ(株)が年4回発行していた小冊子です。バックナンバーとして掲載しておりますが、現在お取り扱いしていない製品・サービスの場合もございますので、ご了承ください。

近年、プラズマを利用したセラミックコーティング技術が進歩し、その耐磨耗性、耐食性、装飾性等が広く利用されている。今回、コーティング膜に亀裂を発生させその性状を調査した結果1)を紹介する。

最近開発された低電圧・大電流特性を有するHCD(Hollow Cathode Discharge)法を用いる水平一体型の大電流HCD装置により大表面積のステンレス鋼板上にTiNおよびTiのコーティングを行い、密着性、平滑性の優れた膜を作成し、次にバルジ成形(曲げ加工の一種、口拡げ)を行った。

外観上には大きな変化は見られないが、拡大してみると上図の上に示す真上からの走査電子顕微鏡写真で明らかなように、亀裂(クラック)が生成している。TiNは被膜表面に対してほぼ垂直に割れ、セラミックス特有のクラック形態をしている。これに対してTi膜では、塑性変形により延伸されてからクラックとなる複雑に曲がった破壊形態をしている。またバルジ成形の際に発生した擦り傷が見られるが、Tiは金属でセラミックスより軟らかいためである。

上図下の走査電子顕微鏡写真はFIB法を用いて。上図において白線で示した領域の断面観察を行ったものである。これからもTiN膜では地鉄表面にほぼ垂直に0.2~0.7μm幅のクラックが発生していることがわかる。TiN膜では被膜は複雑に湾曲し、クラックの所々はTiによって被覆されて地鉄を保護した状態になっている。このことは同様に亀裂を発生させたサンプルで行った腐食試験において、Tiコーティングしたものの方が腐食の進行が遅いという結果と対応している。

1)井口ら:日本金属学会誌、 Vol.60 (1996), p1084

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