鉄芯入りの古代オリエントの青銅剣

紀元前1千年紀初頭イラン北西部のルリスタン地方で作られたとされる青銅剣の柄(つか)の芯に鉄が使われているのではないかということで,岡山市立オリエント美術館殿から調査を依頼されました。
当社所有の工業用X線透過装置で観察したところ,青銅と鉄を使用して作られた柄の部分の状態が明らかになりました。
写真1と2は,青銅製柄頭(つかがしら)の先端部の外れた青銅剣の外観です。写真3と4は柄部分のX線透過写真です。写真1,2,4で,柄の先端にわずかに突出した部分が見えますが,それが鉄芯です。写真3中の細い筋が鉄芯と青銅の境界を示しています。柄の中心部全長にわたって鉄芯が入っているのが分かります。写真4から柄と刃の接合部に隙間が観測されます。また,青銅の刃を接合するために鉄を刃の周囲に回して装着している様子が分かります。柄と刃との接合方法についても現代の替え刃方式を先取りしていた感があります。
鉄器時代初期に,これだけの技術があったのは,まさに驚嘆に値します。
露出している鉄芯先端部を用いて化学成分分析,金属組織観察,硬度試験なども行いました。その結果,2種類の比較的純度の高い軟鉄で折り返し鍛錬されていること,また,鉄の中の介在物(不純物)は同時代のトルコ遺跡出土鉄器の介在物成分と類似していることなどが分かりました。
2001年11月に開催された「日本西アジア考古学会第3回公開セミナー」で,これらのことが発表1)されて大きな反響を呼びました。

1)紺谷亮一,「銅の文明・鉄の文明への新提言-岡山市立オリエント美術館所蔵・ルリスタン青  銅剣から-」,日本西アジア考古学会第3回公開セミナー要旨集,pp13-16,(2001年11月)

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