シリコンウェーハ切断用ソーワイヤの組織

太陽電池や半導体用シリコンウェーハはシリコンインゴットから切り出して製造します。切り出す方法の1つとしてワイヤーソーがあります。1本のワイヤを2つ(3つまたは4つもある)のガイドロール間に張り、ガイドロール間にインゴットを置き、ワイヤを走行させて切断します。ガイドロールにはワイヤが通る溝が500から800本平行に付けられ、一度に500から800枚、インゴットを2本並べておけば、その2倍のウェーハを作れます。ソーワイヤの線経は通常160あるいは、180μm程度で、長さは600kmに達するものがあります。真円度は±1μm以下です。
写真はこのワイヤの断面をTEM(透過電子顕微鏡)で観察した金属組織です。この組織はフェライト(白い層)と硬いセメンタイトからなるパーライトと呼ばれ、層間隔が15から20nmのナノ構造、いわゆるナノサイズの繊維状複合構造になっています。引っ張り強さは普通鋼の約10倍、3,500MPa以上です。です。材料は炭素が0.8から0.9mass%を含む不純物が少ないピアノ線用線材を用います。その線径は5から5.5mmで、これを冷間伸線加工を熱処理を2回繰り返し行い、真鍮めっきをした後、最後にもう一度仕上げ伸線加工を行います。
ところで切断の際はスラリという10μm程度の研磨剤を混ぜた加工液をワイヤにかけ、ワイヤに付着させた状態でシリコンインゴットに押し付けます。この加工法は日本では縄文時代後期の三内丸山遺跡で発見された翡翠製大珠(5.5~6.5cm)のみごとな穴に見られます。断面が円形の管材とスラリ(鋼玉などを混ぜた水)を使い、管材を回転させる回転穿孔法で開けられたと言われています。
高価なシリコンインゴットからより多くのウェーハを作るために、切断ピッチを小さくする、あるいは研磨加工幅を小さくする方法が研究され、140μm径のワイヤが半導体用のウェーハ加工に、さらに細い120μm径のワイヤの使用が太陽電池用ウェーハに研究開発されています。

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JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部