グリーン調達/EU規制物質の分析
PFAS(有機フッ素化合物)の分析
素材、製品、水、排水中のPFAS含有量分析をお引き受けいたします。
PFAS(有機フッ素化合物)とは
有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS) は、耐熱性、耐薬品性、撥水性など様々な機能性を有し、織維、医療機器、電子機器、半導体製造、建築分野等に幅広く使用されています。しかし近年、残留性、生物蓄積性、人・環境への悪影響の懸念を理由に、残留性有機汚染物質(POPs)を規制するストックホルム条約(POPs条約)の下で、国際的な使用制限や製造禁止が検討されています。
POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)とは
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)は、製造および使用の廃絶や制限、非意図的な生成による排出の規制に関する条約です。
PFASの各国の規制(法規制の動向)
日本と欧州はPOPs条約に基づき、それぞれ化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)と欧州POPs規則でPFASを規制しています。米国では有害物質規制法(TSCA法)により同様の規制が行われています。
REACH規則とは
欧州連合(EU)が制定した化学物質の登録、評価、認可、および制限に関する法規制です。
欧州での規制
2017年にペルフルオロオクタン酸(PFOA)が、2023年にペルフルオロカルボン酸(PFCA)がそれらの塩と関連物質を含めて既に規制されています。また、2026年にはペルフルオロヘキサン酸(PFHxA)が追加規制されることも決まっています。
さらに、デンマーク、ドイツ、オランダ、スウェーデン、ノルウェーの5ヵ国はPFASの一括制限を提案しており、早ければ2025年内に規制が開始される可能性があります。この規制が始まると、18カ月の移行期間を経たのち、PFASの製造、上市、使用(輸入を含む)が制限されることになります。
規制濃度の閾値
1種類のPFAS | 25ppb(高分子PFASを除く) |
---|---|
複数のPFAS | 合計で250ppb(高分子PFASを除く) |
高分子PFAS | Fとして50ppm |
国内の規制
化審法において規制されている物質は、主にPFOS、PFOA、PFHxSの直鎖型化合物のほか、その塩(Na、Li塩等)、分岐鎖、関連物質になります。また、PFOAの分岐鎖が2024年9月に、PFOAの関連物質が2025年1月に追加されており、今後も対象物質が拡大する見込みです。
2010 | 2021 | 2024 | 2025 | |
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PFOS | 原則禁止 | |||
PFOS関連物質 | 一部規制 | |||
PFOA | 原則禁止 | |||
PFOA関連物質 | 一部規制 | 原則禁止 | ||
PFHxS | 原則禁止 | |||
PFHxS関連物質 | 一部規制 | 原則禁止 (検討中*1) |
*1:2025年1月時点
分析範囲と分析方法
当社では最新の高感度なLC-MSMS分析装置を用いてPFASを分析しています。また、PFASは数万種ともいわれるほど多くの成分があるため、試料に含まれるフッ素を測定してスクリーニングを行うことが必要となる場合があります。当社では燃焼イオンクロマトグラフィー分析装置を用いた全フッ素分析(定量下限:20 mg/kg)にも対応しています。
対応試料と定量下限
当社では、液体試料から固体試料まで、あらゆる試料に対して、規格に準拠した方法で分析することが可能です。医療用材料、電解膜、自動車用部品、食品容器、電子部品、紙類、土壌、廃棄物、排ガス、排水、作業環境など、さまざまなPFASの分析に対応しています。原材料から最終製品、廃棄物に至るまでお気軽にお問い合わせください。
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試料の定量下限と分析方法例
試料 定量下限※ 分析法(例) 原材料・素材・製品 10 µg/kg~ CEN/TS 15968:2010
EN 17681-1:2022環境水・排水・水道水 0.1 pg/L~ 環境省公定分析法
EPA 1633※試料・成分により異なりますので、ご希望の定量下限をご提示ください。
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試料処理例(原材料・素材・製品)
分析対象物質 (US EPA 1633 および ISO 21675)
米国環境保護庁(USEPA)および国際標準化機構(ISO)は、それぞれPFASの分析法を公開しており、対象成分は以下の通りです。
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PFAS US EPA 1633 ISO 21675 PFCAs PFBA ● ● PFPeA ● ● PFHxA ● ● PFHpA ● ● PFOA ● ● PFNA ● ● PFDA ● ● PFUnA ● ● PFDoA ● ● PFTrDA ● ● PFTeDA ● ● PFHxDA ● PFOcDA ● PFSAs PFBS ● ● PFPeS ● PFHxS ● ● PFHpS ● ● PFOS ● ● PFNS ● PFDS ● ● PFDoS ● FTSs 4:2FTS ● 6:2FTS ● ● 8:2FTS ● ● -
PFAS US EPA 1633 ISO 21675 FTCAs 3:3FTCA ● 5:3FTCA ● 7:3FTCA ● PFESAs PFEESA ● 9Cl-PF3ONS ● ● 11Cl-PF3OUdS ● PFECAs ADONA ● ● PFMPA ● PFMBA ● NFDHA ● HFPO-DA ● ● その他 PFOSA ● ● NMeFOSA ● ● NEtFOSA ● ● NMeFOSAA ● ● NEtFOSAA ● ● NMeFOSE ● NEtFOSE ● 8:2 diPAP ● 8:2 FTUCA ●
代表的なPFASの構造式
ペルフルオロカルボン酸類(C9-C14 PFCAs)分析
ペルフルオロカルボン酸類(PFCAs)は、電化製品、衣類、化粧品など、身近な製品にも使用されているフッ素有機化合物で、主な使用目的は、撥水剤、消火剤、半導体エッチング処理剤などです。
「C9-C14 PFCAs」は、9炭素原子以下の炭素鎖を有するPFCAs(例:PFOA)の生産過程で発生した副産物で、2023年2月より、C9-C14 PFCAsとその塩類が合計で25ppb以上、またはC9-C14 PFCAs関連物質の合計が260ppb以上含有する物質・混合物・成形品のEU域内での上市や使用が制限されました。
今後、当該域内への物品上市時には、C9-C14 PFCAsが基準値未満であることの確認が必要になります。
当社では質量選択性の高い液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC/MSMS)を用いた分析法を採用しており、複雑な
マトリクスの試料でも精度よく、また迅速に多数の検体を定量分析できます。
これまでに、各種材料中のC9-C14 PFCAs分析実績があり、多種多様な検体に対応できますので、お気楽にお問合せくだ
さい。
化合物名 | C数 | 測定方法 | 下限値 | |
---|---|---|---|---|
ペルフルオロノナン酸 | PFNA | 9 | LC/MSMS | 合計25ppb |
ペルフルオロデカン酸 | PFDA | 10 | ||
ペルフルオロウンデカン酸 | PFUnDA | 11 | ||
ペルフルオロドデカン酸 | PFDoDA | 12 | ||
ペルフルオロトリデカン酸 | PFTrDA | 13 | ||
ペルフルオロテトラデカン酸 | PFTDA | 14 |
対象試料の例
- 排水
- 撥水性布
- 消火剤
- ポリマー加工品
- フッ素系樹脂材料
- 表面処理剤
作業の流れ
関連ページ・関連リンク
- JFE-TEC News 81号(化学分析の最前線特集号)
- ペルフルオロカルボン酸類(C9-C14 PFCAs)の定量分析 [事例集PDF]
- 排水中のPFOS/PFOAの分析 [事例集PDF]
- 有機フッ素化合物(PFOS、PFOA、PFHxS、PFCAs)の分析 [事例集PDF]
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