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2021年01月15日
北海道暴露試験場の環境データ提供および腐食環境モニタリングサービス受託を開始
当社は、北海道暴露試験場にて本年冬期の試験より、お客様への環境データのご提供および、各種の腐食環境モニタリングサービスの受託を開始いたします。
暴露試験とは?
暴露試験とは、紫外線劣化等の耐候性、飛来塩分等による耐腐食性等を評価する試験です。紫外線劣化に大きく影響する日射量は低緯度ほど増加し、耐候性を評価する上でより厳しい環境になります。また、耐腐食性については、海塩の飛来量や凍結防止剤の散布量が多い場所がより厳しい環境になります。更に、腐食反応は熱力学的な観点から温度依存性を持つと考えられています。これらの要因により、厳しい条件を望む暴露試験の多くは、亜熱帯や熱帯地域で実施されています。当社が受託する暴露試験においても、その多くを沖縄県で実施しています。
北海道暴露場の意味
JST東アジア共同研究事業(e-ASIAプロジェクト)1)では、積雪寒冷地の炭素鋼の腐食速度は他の亜熱帯や熱帯地域と同程度であることが報告されました。北海道石狩市における冬期の暴露試験結果からは、炭素鋼の腐食速度が0.1~0.2mm/yと報告2)されており、沖縄県の夏期と同等の腐食速度が認められています。その原因としては、冬期に北西から強い季節風が吹くため、日本海沿岸部では多くの海塩が飛来する事、冬期に散布される凍結防止剤の量や成分(塩化カルシウム)等が考えられます。また、これらの付着塩の影響により、積雪下において湿潤環境が長時間継続し、腐食環境が厳しくなることが考えられています。当社は積雪寒冷地特有の腐食を評価する暴露場として、昨年12月に北海道石狩市厚田の沿岸部に北海道暴露場を開設しました。寒冷地暴露試験に重要な2つの要素、①積雪下になること、②飛来塩分量が多いこと、これらを両立した環境に当社の北海道暴露場は位置しています。
環境測定および腐食環境モニタリング
環境測定の項目は、温度および湿度の測定、飛来塩分量の測定です。相対湿度との関係から、半日ごとの付着塩分量の推移を解析可能な、ACMセンサ(Atmospheric Corrosion Monitor)での測定は、データをクラウドより遠隔操作で取得可能です。また、電気抵抗式腐食センサ(AirCorr-O、FCI製)を用いると、腐食損耗量の経時変化をモニタリング出来ます。この度、暴露試験と合わせて、これらの環境測定および腐食環境モニタリングサービスをお客様へご提供する準備が整いました。
当社では、沖縄県や本州における暴露試験も受託しており、上記サービスと共に、お客様へ最適なソリューションを提供いたします。
- 1)T. Shinohara, A. Tahara and T. Dara, Proc. of Zairyo-to-Kankyo 2016, C-111, (2016).
- 2)M. Omoda, D. Mizuno, N. Ishikawa and S. Fujita, Proc. of Zairyo-to-Kankyo 2018, A-307, (2018).
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