No.02「大気の腐食性をモニターする(1)」

No.02
大気の腐食性をモニターする(1)~ACMセンサの特長~

私たちの社会基盤をささえる鉄塔、橋梁、プラントなどさまざまな鋼構造物、これらが置かれている大気環境の腐食性を定量的に評価することは、設備の保守を計画的に行う上で大変重要な課題です。鋼材の腐食に影響を与える大気環境因子としては、温度、湿度、降雨、大気中を飛来してくる腐食促進物質(海塩や腐食性ガス)などがあげられます。ACM(Atmospheric Corrosion Monitor)型腐食センサ(以下ACMセンサ)は、これら複雑な環境因子の相互作用により発生する鉄の腐食電流を直接計測します。この電流(センサ出力)を解析することにより、大気環境の腐食性を直接かつ定量的に評価することが可能となりました。

ACMセンサの外観と構成を図1に示します。降雨や結露によりセンサ表面に水膜ができると、基板(Fe)と導電ペースト(Ag)の間に腐食電流が流れます。この電流値は相対湿度や海塩付着量などの影響を反映して増減し、腐食性が高ければ電流値は高くなります。またセンサの開発者らによって、ある大気環境中でのACMセンサ出力値と、同環境中での炭素鋼、亜鉛の腐食速度との相関式が求められております。図2はACMセンサを利用した大気環境評価システムの構成を示します。このシステムの特長は次のとおりです。

  1. 環境の腐食性を、日平均電気量Q[C/day]で代表させることにより、非常にシンプルかつ定量的に扱うことが可能。
  2. ACMセンサは板形状で環境に対する「面」をもっているため、構造物内の任意の場所、方位、角度などの腐食環境の違いを区別して評価が可能。
  3. 温湿度計測とともにリアルタイムのモニタリングが可能。したがって何月何日の何時に高湿度となり腐食電流が流れた、といった腐食挙動の解析が可能。
  4. 測定場所ごとの日平均電気量Q値から、その場所での炭素鋼、亜鉛めっき鋼板などの腐食速度、寿命の推定が可能。
図1 ACMセンサの構成
図1 ACMセンサの構成
図2 大気環境評価システムの構成
図2 大気環境評価システムの構成

次回はこのシステムの応用例を紹介します。

* 東京大学 辻川名誉教授、物質・材料研究機構篠原ディレクター、東京商船大 元田助教授らが開発した腐食センサ

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