腐食防食
ACM型腐食センサによる大気腐食モニタリング
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ACMの原理と構成
大気環境の腐食性を定量的に評価することは、構造物の寿命推定や保守管理を行うために大変重要な課題です。金属の腐食性に影響する大気環境因子としては、温度、湿度、降雨、また大気中を飛来する海塩粒子や腐食性ガスなどを上げることが出来ます。
東京大学 辻川名誉教授、物質・材料研究機構(NIMS) 篠原ディレクター、東京海洋大 元田教授らが開発したACM(Atmospheric Corrosion Monitor)型腐食センサ(以下ACMセンサ)は、環境因子により電気化学的に発生する金属の腐食電流を直接計測します。すなわち、ACMセンサの出力を解析することにより、環境の腐食性を直接、かつ定量的に評価することが可能となります。
開発者らが発表している、代表的な関連文献を以下に示します。
関連文献
- 篠原ら;腐食防食協会,第40回討論会予稿集,495(1993)
- 元田ら;材料と環境,43,550(1994)
- 辻川;日本鉄鋼協会,建材の表面処理と腐食フォーラムシンポジウム資料1(1997)
(NIMS 材料基盤情報ステーション 腐食研究グループホームページ https://www.nims.go.jp/mits/corrosion/)
当社は、(社)腐食防食協会が認定し、同協会腐食センタ-が検定を行っているACMセンサを使用しております。
原理
-
2種類の金属(Fe/Ag)を互いにに絶縁して大気中に暴露しますと、降雨や結露のため、表面に薄い水膜が形成されます。水膜が2種類の金属を覆いますと、電池ができ、電流が流れます。この微少な電流を測定し解析を行いますと、大気環境の腐食性がモニタリングできます。
大気環境評価システムの構成
ACMセンサを用いた大気環境評価システムの特徴
- 構造物の任意の場所や方向、また角度における環境の腐食性の違いを評価します
- 構造物の設置されている場所において、リアルタイムで計測を行います
- 設置されたその環境における炭素鋼、亜鉛めっき鋼板の腐食速度を推定します
- 短期間(数ヶ月~1年)に、大気環境の腐食性を評価します
- センサ出力に温・湿度データを組み合わせますと、センサ設置場所の降雨時間、濡れ時間、海塩付着相当量を推定できます
データの解析と環境評価
ACM環境評価システムは、10分毎にセンサ出力電流I[A] を計測します。同様に、10分毎に設置した温・湿度測定します。これが基本データです。
基本データ
時間-相対湿度
時間-湿度
時間-ACMセンサ出力データ
ACMセンサの出力は、センサを構成するFe/Ag両金属間に流れる腐食電流 I[A] です。この値を基本とし、様々な目的により、データ解析を行います。
一次解析
ACMセンサ出力の経時変化 ...(測定例)
センサ設置場所によるセンサ出力の違い
降雨や湿度とセンサ出力の関係
日平均電気量
ACMセンサ出力は、ある時刻での電流値 I[A] です。電流値を任意の期間に対し積算した値は、積算電気量 Q[C](クーロン)と呼び、一日当たりの積算電気量は、特に日平均電気量 Q [C/day] と呼びます。日平均電気量Qは、大気環境の腐食性を評価する際、しばしば用いられる指標です。
以上の関係は、式で表しますと、次のようになります。
ACMセンサ出力:電流値 I[A]
積算電気量Q[C]=ΣI×時間[sec]
日平均電気量 Q [C/day] =Q/測定日数
腐食速度の推定
弊社は、長年にわたり各地でACMモニタリングを実施しており、取得したデ-タを解析した豊富なデータベースを保有しております。
これらデータベースと参照することにより、得られた日平均電気量Qは、個別の大気環境における材料の腐食速度、ならびに残存寿命を推定します。
ACMセンサ応用例
構造物実環境の腐食性評価
暴露材との比較試験
関連ページ・関連リンク
- ACMセンサーによる実車腐食環境評価試験 [事例集PDF]
- 小型ACMセンサーによる局所腐食環境調査 [事例集PDF]
- トレーラーによる実車走行試験 [事例集PDF]
JFE-TEC Newsバックナンバー
- No.70(2022年1月)環境耐久性・腐食調査
- No.55(2018年4月)社会インフラ構造物の腐食防食ソリューション技術
- No.3(2005年4月)大気の腐食性をモニターする(2)~ACMセンサの応用例~
- No.2(2005年1月)大気の腐食性をモニターする(1)~ACMセンサの特長~
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