No.03「大気の腐食性をモニターする(2)」

No.03
大気の腐食性をモニターする(2)~ACMセンサの応用例~

前回はACMセンサの原理と特長を述べました。今回はさまざまな大気環境が、炭素鋼や防食用めっき材である亜鉛の腐食におよぼす影響について、ACMセンサを利用して評価した実例を紹介します。

図1は鉄塔に取付けたACMセンサの出力(腐食電流)と温度湿度センサの測定データ例を示したものです。この図から鋼材の大気腐食は湿度の変化と連動して起こることがわかります。すなわち、気温が高く湿度の低くなる日中は鋼表面が乾燥するため腐食は抑制され、気温が低く湿度が高くなる夜間は鋼表面が結露して腐食が進行します。また降雨があると湿度が急激に高くなり、日中でもACMセンサに腐食電流が流れます。このように腐食が起こる時刻とその原因が把握でき、その場所での腐食メカニズムが解析できること、これがACMセンサの特長のひとつです。

図1 ACMセンサ出力および温湿度の経時変化の例
図1 ACMセンサ出力および温湿度の経時変化の例

図2はあるプラント建屋の屋外および建屋内に設置したACMセンサの出力データから日平均電気量(腐食電流を積算した電気量[C]を測定日数で除したもの)Q(C/day)を算出し、年間の経時変化を調べた例です。日平均電気量Qはその環境の腐食性を定量的に表す代表値として利用されます。図2から屋外は建屋内にくらべ、より厳しい腐食環境にあること、季節としては冬季よりも夏季の方がより腐食性が高いことがわかります。

さまざまな環境で求められたQの値が高いほど、その環境での炭素鋼および亜鉛の腐食速度CR(mm/y)が高いことが実証されており、センサの開発者らによって両者の相関式が求められています。

図2 日平均電気量Qの年間変化の例
図2 日平均電気量Qの年間変化の例

図3は異なる環境の橋梁に設置したACMセンサにより求めたQの値を例示したものです。右側の表示はQの値から推定される炭素鋼と亜鉛の腐食速度を示したものです。海岸地域の橋梁は他の地域にある橋梁にくらべて腐食の進行が速いため、設備保全計画では優先度が高いことが定量的に理解されます。

図3 異なる環境での日平均電気量Qの例と推定腐食速度
図3 異なる環境での日平均電気量Qの例と推定腐食速度

以上、いくつかの応用例をあげましたが、このようにACMセンサを活用した実例が蓄積されつつあります。

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