No.07「接合技術の最近のトピックス(2)」

No.07
接合技術の最近のトピックス(2)~日本発のオリジナル技術 その1~

世界に冠たる日本の溶接業界ですが、日本独自の技術や新しい概念はそれほど多くありません。ブレークスルー技術のひとつとして、昨年、二重ワイヤという画期的かつ独創的なアイディアが(独)物質・材料研究機構から提案され、注目されています(次回で紹介)。同様の独創的アイディアとして、少し時代は遡りますが、酸化物を利用した金属組織制御による溶接金属の高靭性化技術が挙げられます。今回は、第一話として、今では溶接金属の成分設計のバイブルとなっているその高靭性化にまつわる話から紹介します。

溶接金属部の高靭性化

溶接金属や溶接時の熱影響を受けた鋼板部分(HAZ)の靭性向上には、その金属組織(結晶粒)の微細化が有効であることは1970年頃に常識化していましたが、その実現法には定説がありませんでした。鋼板HAZでは適量のTiN(窒化物)が結晶粒生成の核となって組織を微細化するとの考えが1975年に発表され、溶接金属でも同様であるとの考えが常識化していきました。

酸化物による組織微細化

同じ1975年頃川崎製鉄では、溶接金属においては窒化物ではなく、それまで靭性劣化要因と考えられていた酸化物が微細結晶粒生成核になるとの新しい考え方が生み出されました。しかし、前述のように窒化物が核であるとの考えが常識化しており、にわかには認知されず、1978年になってようやく溶接学会で酸化物核説を発表しました(写真参照)。
 その後、NKKが溶接金属において、さらに、新日鉄が鋼板HAZにおいてもTi系酸化物が核として効果的であることを示し、次第に酸化物核説が定着してゆき、日本発の新しい概念が、Oxide Metallurgy(酸化物による金属組織制御)として世界的に確立するに至りました。

写真 酸化物を利用した溶接金属組織制御の一例(780MPa級高強度溶接金属)
写真 酸化物を利用した溶接金属組織制御の一例(780MPa級高強度溶接金属)

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