No.09「イオンで量る(4)」

No.09
イオンで量る(4)~極微量を量るICP質量分析~

物質は高温状態において遊離原子となり、熱励起やイオン化といった現象が起こります。このようにして生成したイオンを質量分析することで、元素の定性や定量を行うことができます。
 また、Arガスに高周波誘導電場をかけたとき生成する安定な高温のプラズマ、すなわち誘導結合プラズマ(ICP)中では、ほとんどの元素が90%以上の高効率でイオン化されます。このイオンを質量分析する“ICP-MS”が開発され、極微量分析に不可欠な分析法となっています。

半導体材料の極微量分析

ICP-MSの最大の特徴は、「高感度で定量性が高い」ということにあり、溶液中極微量成分の定量が可能です。半導体製造プロセスにおいてその汚染が問題となる元素の検出下限値を、表にまとめました。近年、プラズマ温度(電位)を低下させることで、Ar(プラズマガス)に由来する分子イオンの生成を抑制するCool Plasma法が実用化され、対象元素全てについて、概ね1pp(t1兆個中の1個)レベルで検出できるようになりました。当社で長年培った高度な溶液化技術と組み合わせることで、シリコンなど様々な素材の純度や表面汚染の評価に利用され、製品の歩留り向上や信頼性向上に貢献しています。

各種材料の局所分析

高純度金属やセラミックスなどの固体試料の分析においては、試料を溶液化することなく直接分析する手法が実用化されています。そのひとつに、レーザ光を試料に照射し生成した微粒子をICP-MSで測定する技術(LA-ICP-MS)があります。図は、鉄鋼標準試料NIST1765と高純度鉄を分析し得られたスペクトルです。LA-ICP-MSの絶対感度は0.1pg(10-13g)と高感度であり、基板上指定部品などの局所微量分析にも応用できるようになりました。
 このように、ICPをイオン化源とした質量分析は、極微量成分分析において不可欠な技術であり、様々な分析評価に利用されています。

表 ICP-MS法(溶液法)の検出下限 注1)
表 ICP-MS法(溶液法)の検出下限

注1) : 検量線ブランク溶液を繰返し測定し得られた標準偏差の3倍

図 LA-ICP-MS法で得られた鉄鋼試料の質量スペクトル(図中のカッコ値は、NIST1765中の各同位体の含有率)
図 LA-ICP-MS法で得られた鉄鋼試料の質量スペクトル
(図中のカッコ値は、NIST1765中の各同位体の含有率)

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