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No.13「高速変形試験(1)」

JFE-TEC News No.13号 面ひずみのパターン測定 他 記事一覧

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No.13(2007年10月)
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No.13 面ひずみのパターン測定 他

高速変形試験(1)~材料の高速変形特性とそのニーズ~

当社では鋼、アルミなどの金属や樹脂など多岐にわたる材料の高速引張り試験を実施しています。高速引張り試験では通常の静的引張試験と異なり変形時間が極端に短いために特殊な試験機を使用します。これからの4回シリーズでその概要を説明します。まず今回は高速変形特性とそのニーズについて述べます。

材料の強度と歪速度

図に自動車などに使用される軟鋼板の強度(引張り強さ)と歪速度の関係を示します。歪速度(/s)は単位時間当たりの変形量を元の長さで割ったものです。例えば長さ10mmの材料を10m/s(時速36km)の速度で引張った場合、1秒間に10m伸び(もちろん通常の材料であれば数mm程度で破断しますが)、これを元の長さで割ると歪速度は1000/sとなります。図によれば歪速度の小さい領域では強度変化は小さいが、歪速度の大きい領域では歪速度の増加に伴い強度は急激に増加する傾向を示します。一般的に多くの材料ではこのように変形速度の増加に伴い強度が増加しますが、その増加の程度は材料によって異なり、金属の中では鋼などの体心立方構造の金属では歪速度依存性が大きく、一方アルミなどの面心立方構造の金属では小さいとされています。なお鋼の強度を通常○○キロ鋼または○○○MPa鋼と呼びますが、これはJIS規定の引張試験での強度で、その歪速度は0.001/s程度です。

図 軟鋼板の引張り強さにおよぼす歪速度の影響
図 軟鋼板の引張り強さにおよぼす歪速度の影響

幅広い歪速度での変形特性データの必要性

一般的に、機械や建物の設計では、材料の静的な強度に基づいた強度計算が行われますが、最近では例えば自動車の衝突や携帯電話の落下などの破壊現象まで含めた製品設計が必要とされるようになっています。そのために幅広い歪速度にわたる変形特性データのニーズが高まっています。とくに製品開発を低コストでかつ効率的に遂行するための手法としてFEMを用いたシミュレーションが多用されていますが、このシミュレーションを行うために対象材料の幅広い歪速度にわたる変形特性(応力-歪関係)は必須となっています。

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