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No.15「高速変形試験(3)」

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No.15(2008年04月)
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No.15 レーザー溶接の伝熱シミュレーション 他

高速変形試験(3)~高速引張り試験機~

前回、高速変形試験では弾性波の往復伝播によって応力振動が起こってしまうことを説明しました。このような応力振動をなくして滑らかな応力-歪曲線を得るための方策には、大別して2つの方法があり、それぞれの方法を用いた高速変形試験機があります。

検力ブロック式試験機

第1の方法はロードセル内に発生した弾性波の反射を抑制する方法です。歪ゲージ部通過後の弾性波を大きなブロックに誘導し、その中で乱反射させ、歪ゲージに戻ってくる弾性波を極力小さくします。この方式の試験機は検力ブロック式試験機と呼ばれています。

ホプキンソンバー試験機

第2の方法は、試験片の変形が進行している間に弾性波が戻ってこない程度にロードセルを長くする方法で、ホプキンソンバー試験機と呼ばれています。例えば破断までの歪量が0.5の材料を歪速度1000/sで引張る場合の変形時間は0.5msで、この間に伝播速度5000m/sの弾性波は、2.5mの距離を移動します。この長さが弾性波の往復の距離になりますからロードセル長さが半分の1.25m以上であれば反射波の影響を受けずに歪ゲージによる荷重計測が可能となります。
ホプキンソンバー試験機には圧縮用、引張り用があり、いずれも基本構成は同じで図に示すように長い棒(歪ゲージを貼りロードセルとし、通常は応力棒と呼ぶ)2本の間に試験片を取り付け、片側の応力棒端部に衝撃(圧縮または引張)を加え、その衝撃弾性波で試験片を変形させる方式となっています。
導入された衝撃弾性波は応力棒(入力棒)の中を伝わり、試験片を通過してさらに右の応力棒(出力棒)の中を伝わっていきます。衝撃弾性波は応力棒の右端部で反射しますが、歪ゲージから応力棒端部までの距離を長く取り、反射波の影響を受けずに歪ゲージによる荷重計測ができるようになっています。また、入力棒と出力棒の両方に貼り付けた歪ゲージの出力から試験材の応力と歪を求めることができます。つまりホプキンソン試験法では他の試験法で必要とされる変位計は不要で、図に示す非常にシンプルな構成から成ることが特徴といえます。

図 ホプキンソンバー試験機の基本構成
図 ホプキンソンバー試験機の基本構成

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