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No.20「微細構造を明らかにする物理解析(3)」
JFE-TEC News No.20号 極低加速電圧SEMによるトランジスタのpn接合観察 他 記事一覧
微細構造を明らかにする物理解析(3)
No.20 極低加速電圧SEMによるトランジスタのpn接合観察 他
微細構造を明らかにする物理解析(3)~表面構造を可視化するSEM技術(1)~
新しい走査電子顕微鏡の特徴
物質表面の微細構造を観察・評価する手法として走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)が広く利用されています。SEMでは、一次電子を照射した時に発生する二次電子や反射電子の信号を、一次電子の試料上における走査と同期させ、コントラストとしてモニター上にSEM画像を得ます。そのコントラストが表面の凹凸に対応しているので、表面形状観察に用いられているのです。
最近、電子プローブの加速電圧を1kV以下にできる極低加速電圧SEM(ULV-SEM:Ultra Low accelerating Voltage SEM)の登場により、ナノメータレベルの極表面の高分解能観察が可能となりました。ULV-SEMでは、従来から知られている試料表面形状の観察ができるだけでなく、物質状態に起因するコントラストが得られることが特徴です。また、3D-SEMでは、複数の二次電子検出器を用いて、従来困難であった試料表面の凹凸をナノメータレベルで定量的に評価できるようになりました。
ULV-SEMによる化学状態分布の観察例
写真に、DVD-RWディスク記録層の観察例を示します。加速電圧を400Vとし、同一視野を異なる検出器を用いて同時に観察したSEM像です(右: TTL環状反射電子検出器による組成強調像、左:TTL環状二次電子検出器による化学状態強調像)。いずれも凹凸形態によるコントラストが見られています。左の化学状態強調像では、非晶質の部分が暗く、結晶質の部分が明るいコントラストを示し、レーザーによる書込み痕の分布が明確です。一方、右の組成強調像には、組成が均一なのでこのコントラストは見えません。このように、ULV-SEMは、形状や組成観察の他に、物質状態の分布も観察でき、金属上の腐食生成物、多層膜、複合粒子など異なる化合物が混在した材料の構造解析が可能です。
当社は、ULV-SEMや3D-SEMなど新しいSEMを用いることで、ナノレベルの表面構造制御が要求される新しい材料の解析ニーズにお応えいたします。
写真 DVD-RW記録層のSEM観察(加速電圧400V )
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