JFE-TEC News
No.21「高精度赤外線カメラの応用(1)」
JFE-TEC News No.21号 ナノ材料の解析・評価の新展開 他 記事一覧
高精度赤外線カメラの応用(1)
No.21 ナノ材料の解析・評価の新展開 他
高精度赤外線カメラの応用(1)~応力測定の原理とロックイン機能~
最近の高精度赤外線カメラは、温度計測の精度が良くなり、しかも高速計測が可能であるなど、技術的に大きな進歩を遂げています。これを利用すると、これまでできなかった衝撃的な荷重により破壊する材料の温度測定や、繰返し応力を受ける部品の応力分布のビジュアル化が可能となり、有限要素法による数値解析との比較、検証もできるようになりました。
今回は、赤外線カメラによる応力測定の原理と、優れた信号処理技術であるロックイン機能について説明します。
応力測定の原理(熱弾性効果)
固体は気体と同様に、圧縮すると発熱、引張ると吸熱の温度変化を生じます。これが熱弾性効果とよばれるものです。温度変化の大きさと応力変化の大きさには比例関係があり、この関係を使って、温度変化から応力変化を求めることができます。
ただ、固体の温度変化は気体に比較し、非常に小さく、鋼の場合1MPaの応力変化で、0.001℃程度です。この小さな温度変化を検出するために、最新のカメラシステムはロックイン機能を有しています。
ロックイン機能の役割
ロックイン機能とは、外的に繰返し荷重変動を付与し、荷重信号に同期する温度変化のみを演算し、他の不定期な風や周囲の温度変化を排除する技術です。この方法で温度分解能は最高0.0001℃まで可能になります。図は、疲労試験機で繰返し荷重を与えながら、ロックイン機能を利用して応力測定を行っている様子を示しています。
赤外線カメラの応用例
当社は、高精度赤外線カメラの特徴を活かして表に示すような測定を行い、さまざまな技術分野への応用を行っています。
機 能 | 測 定 例 | 測定条件 |
---|---|---|
温度測定 | 構造物温度測定 高速引張加工発熱温度 高速切削時の工具刃先温度 |
定常 過度発熱 過度発熱 |
応力測定 | スポット溶接部応力分布 プレス機による応力分布 車体ゴムブッシュとアルミ製マウントの応力 |
繰返応力 衝撃荷重 定常 |
疲労測定 | 疲労限推定 構造物損傷部位の特定 |
繰返応力 繰返応力 |
図 高精度赤外線カメラによる応力測定
関連リンク・関連記事
このページに関する
お問い合わせはこちらから
- JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部
- 0120-643-777