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No.26「高速変形試験(3)」
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No.26 電池LAB(1) 他
高速変形試験(3)~構造体の高速変形試験における速度分布、ひずみ分布計測~
前号に引き続き、高速での変形現象を評価する特殊技術の適用例についてご紹介します。
破壊現象の予測精度向上
自動車の衝突や携帯電話の落下などの例に見られるように、破壊現象を考慮した製品設計を行なうことが必要とされています。破壊現象の予測を目的として、コンピューター上でのシミュレーション計算を駆使した性能評価技術(CAE:Computer Aided Engineering)が適用されています。一方で、CAEでの解析精度を向上させるためには、実際の破壊現象を観察し、定量的に評価することも重要となります。
高速圧壊現象の検証
当社では種々の用途に応じて、各種容量の落重試験機や変形速度を一定に制御できる油圧式大型高速変形試験機を適用して、高速での圧壊現象の検証試験を実施しています。定量的な評価・検証をするために、従来は圧壊試験の試験体にひずみゲージを貼付してひずみを計測していました。しかしながら、ひずみゲージを貼付した部分でのひずみは精度良く検出できますが、構造体の広範囲に亘る速度分布、ひずみ分布を精度良く得ることは困難でした。
広範囲の速度分布、ひずみ分布計測
本シリーズの第1回目でご紹介した微小領域のひずみ変化を微小時間毎に計測する技術をさらに発展させて、構造体の広範囲の速度分布、ひずみ分布を簡便に求める技術を開発しました。六角形断面中空部材の落重試験機による軸圧壊試験に適用した例を図1に示します。0.5mm四方の矩形領域に交互に異なるコントラストを付与した試験体を圧壊し、高分解能高速度ビデオカメラにより撮影した画像から微小領域の変位分布を解析します。得られた変位分布から、速度分布とひずみ分布を算出できます。図では定点1と定点2の速度変化と圧壊荷重との関係が明瞭に解ります。本方法の適用により、定量的な評価・検証が可能になりました。破壊現象を考慮したCAEの解析精度向上や製品設計への貢献が期待されます。
図1 六角形断面部材の軸圧壊試験での変形状況
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