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No.42「樹脂・複合材料評価センター(3)」

No.42 樹脂・複合材料評価センター(3) 他

樹脂・複合材料評価センター(3)~イメージングFT-IRによる積層樹脂フィルムの分析~
Observation and Analysis of Multilayer Resin Film by FT-IR Imaging System

イメージングFT-IR の特徴

当社では、より高度な有機分析ニーズへの対応を可能にするために、新たにイメージングFT-IR分光分析装置(パーキンエルマー社製Spotlight400、写真1)を導入いたしました。従来の顕微FT-IR分析法では、微小領域からピンポイントで有機物を採取し、赤外吸収スペクトル情報により有機物種を特定しておりましたが、新規に導入した装置では、分析面を検出器で高速スキャンし、赤外線領域の情報を2次元イメージとして取得する事ができます。これにより特定の有機物の面内での分布状態を可視化する事が可能となりました。

液晶保護フィルムの分析事例

ここでは、スマートフォンなどに代表される液晶パネルの保護フィルムを分析した事例についてご紹介します。従来、保護フィルムは、PET樹脂の単層フィルムが一般的でしたが、最近では使用者の目を保護する目的で、ブルーライトカット処理層が形成されています。図2はブルーライトカット処理がなされた保護フィルムについて、イメージングFT-IR分析を実施した結果です。基材PET樹脂の上層には結晶性の低いPET樹脂の境界層(約0.8μm)、さらに上層にはアクリル系樹脂の中間層(約4.5μm)が確認されました。最表層はTi、Si0系の無機コーティング(約0.3μm)と推定されます。この測定においてはサンプルをダイヤモンド刃により斜め切削加工(切削角度:6°、原理は図1参照)しているため、各層の露出面積は実際よりも約10倍に拡大されています。そのため、FT-IRの分解能では、測定が困難であった、樹脂の境界領域(1μm程度の薄い層)の情報を確認することが可能となりました。

当センターでは、このようなイメージングFT-IR単独での分析以外に、ラマン、SEM-EDX、XPS、SIMSなどを併用した総合的な分析調査にも対応致しますので、是非お気軽にご相談ください。

写真1 イメージングFT-IR(パーキンエルマー製Spotlight400)
写真1 イメージングFT-IR
(パーキンエルマー製Spotlight400)
図1 斜め切削加工イメージ
垂直断面に比べて微小角度の切削面は
露出面積を拡大できるため、薄い層や
界面の情報を得ることが可能です。
図1 斜め切削加工イメージ
図2 液晶保護フィルムの分析
図2 液晶保護フィルムの分析

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