No.48「微細構造を明らかにする物理解析(18)」

No.48
微細構造を明らかにする物理解析(18)~EBSD-Wilkinson法を用いた微小領域の歪解析~
Strain Analysis of Small Areas Using an EBSD-Wilkinson Method

はじめに

結晶材料における歪評価の物理解析手法の一つに後方散乱電子回折法(EBSD法)があります。これは走査電子顕微鏡に搭載されており、後方散乱電子回折像の画像解析から結晶方位差を計測し、塑性歪分布を可視化することが可能です。歪解析が可能な他の物理解析手法と比べて高い空間分解能(30nm)を有しています。当社では、これまで培ってきた試料調整技術および分析技術のノウハウを駆使し、新たな解析手法であるEBSD-Wilkinson法を導入いたしました。本法は従来法と比較し、高い空間分解能を維持したまま、「極微小歪である弾性歪の分布を可視化」することができます。つまり、歪パターンのテンソル解析により、垂直歪・せん断歪・格子回転成分の二次元分布をそれぞれ成分ごとに可視化することができます。

EBSD-Wilkinson 法による単結晶の歪解析

図1 圧痕および亀裂を作製した炭化ケイ素ウェハー
図1 圧痕および亀裂を作製した
炭化ケイ素ウェハー

今回、炭化ケイ素単結晶ウェハー表面に圧子にて、形成された圧痕および亀裂周辺部(図1)の垂直歪分布をEBSD-Wilkinson法を用いて解析した事例をご紹介いたします。

EBSD-Wilkinson法による歪解析結果を図2に示します。黒矢印はX方向およびY方向を表しています。図2(a)歪のXX成分では左右方向に青色で示された圧縮歪が、図2(b)歪YY成分では上下方向に圧縮歪が観察されました。これは、ウェハー表面に圧子が侵入するに従い、圧子表面から垂直方向に炭化ケイ素を押し出す応力が発生すること、さらに全体は拘束されているため、圧痕周辺で圧縮歪が分布すると考えられます(図3)。このように、従来法では得られない圧縮による弾性歪分布を高い空間分解能で可視化することができます。

図2 圧痕周辺部の歪解析結果
図2 圧痕周辺部の歪解析結果
図3 観察された弾性歪分布を説明する模式図
図3 観察された弾性歪分布を説明する模式図

本法は、半導体ウェハー表面の研磨により生じた歪や接合界面の歪の解析に適用することができます。歪評価にお悩みのことがありましたら、お気軽にご相談下さい。

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