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No.68「次世代EV用の全固体電池の試作・評価技術(3)」

No.68 EV特集号 Part1 電池解析技術

次世代EV用の全固体電池の試作・評価技術(3)~LA-ICP-MSを用いた全固体電池の元素分布測定~
Elemental Imaging Method for All-solid-state Lithium-ion Secondary Battery by using LA-ICP-MS

なぜいまこれが?

全固体電池の開発において、電池内部の元素分布を把握することが必要とされています。特に高性能な電池を開発するためには、キャリアとして電池の作動を担うリチウムイオンの移動拡散現象を評価することが非常に重要となります。

これがポイント!

一般に元素分布評価に利用される電子線マイクロアナライザ(EPMA)は、軽元素であるリチウムを測定することはできません。当社は、「レーザーによる局所分析」と「軽元素から重元素まで高い感度を有するICP-MS」を組み合わせたレーザーアブレーション(LA)-ICP-MSを全固体電池の元素分布測定に適用しました。リチウムは大気中の酸素や水分と反応するので、全固体電池を測定するためには、試験片の作製から測定に至る全工程で大気を遮断して作業する必要があります。

そこで当社は、専用の大気非暴露セルを作製し、さらに全固体電池に適した測定条件(レーザー出力・周波数・照射径、質量分析条件等)を確立し、明瞭な元素イメージング像を取得することに成功しました。さらに現在は各元素の定量化にも取り組んでいます。図1に示した全固体電池(100%充電時)の大気非暴露測定LA-ICP-MS分析結果から正極材のリチウムが負極層に集まっていることが明確にわかります。

また、活物質に含まれる元素(Ni,Si)や添加元素など、複数の元素を同時かつ高感度に測定することも可能です。現在、当社は定量化にも取り組んでいます。LA-ICP-MSは、前処理(蒸着)不要で、大気圧下で分析することができ、レーザーを最小φ4μmまで絞り込むことで局所分析が可能な手法です。

図1 充電状態100%時のイメージング結果
図1 充電状態100%時のイメージング結果

当社では、全固体電池の以外にも各種材料や生体組織におけるLA-ICP-MS技術の適用実績が豊富にございますので、お気軽にご相談ください。

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