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No.69「赤外線カメラを用いた金属疲労限界の迅速測定」
JFE-TEC News No.69号 計測特集号 記事一覧
No.69 計測特集号
赤外線カメラを用いた金属疲労限界の迅速測定~純Tiの疲労限界測定~
Estimation of Fatigue Limit of Metal by Using Infrared Camera
なぜいまこれが?
長年使用した材料は、疲労損傷、クリープ損傷、腐食損傷の影響を受けて破壊する場合があります。これらの損傷をいち早く検出して重大な事故を未然に防ぐことは非常に重要です。当社では、経年損傷の進行した材料や構造物の余寿命を推定するため、ひずみ測定、赤外線応力測定、非破壊試験のほか、材料評価や機器分析技術を応用した総合サービスを提供しています。
これがポイント!
疲労限度を求めるためには、通常、破壊に至るまで繰返し試験を複数の試験片と応力値に対して実施するため時間を要しますが、前掲の記事でもご紹介した赤外線カメラを利用すると、鉄鋼やTi合金など金属材料の疲労限界を迅速に推定することができます。
例えば、純Tiは、インプラント材料に利用されていますが、咀嚼による繰返し応力によってインプラントが疲労破壊した場合、部品交換に伴い、患者様の体に大きな負担が加わります。疲労破壊を未然に防止するには、純Tiの疲労限界を把握する必要があります。
図1は、疲労試験時に撮影した試験片平行部のひずみ蓄積による温度変化画像です。加える応力が大きくなるに従って、試験片平行部内の温度が上昇しています。すなわち、ひずみが蓄積しています。加える応力の大きさと平行部内で検出された最高温度との関係を求めると図2のようになります。応力が小さい範囲では勾配は小さいですが、ある応力範囲から勾配が急に大きくなります。その交点が疲労限界と推定されます。この試験で利用した試験片は1本であり、疲労試験1日、解析1日の計2日と短時間で疲労寿命を推定しました。
純Tiでは、試験周波数が鉄鋼材料やアルミ合金に比較して低い1Hz においても疲労限界の推定が可能であることから、実際のインプラント部品の疲労限界推定にも期待できます。各種材料試験についてお気軽にご相談下さい。
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