サーモグラフィ(赤外線カメラ)による高性能温度測定と応力測定「解説」(2)

応力測定例

製造工程で使用されるクレーンの様な装置では応力集中部において亀裂の発生が時折観察されるので、実荷重での応力測定が必要となる場合がある。赤外線カメラでは望遠レンズなどによって足場を組まずに遠隔から測定することが可能である。またMEMSのような微小部品の応力は顕微鏡観察によって測定を行う。図5はクレーンフレームの遠隔応力測定例であるが、コーナーR部において応力集中が発生していることが応力分布図から観察できる。現場測定では熱外乱が多く、ノイズを低減するロックイン信号も取出せない場合が多いので対策が必要である。熱外乱防止には出来るだけ遮蔽や撮影角度を工夫してカメラの視野に反射光が入らないようにする。また実働荷重による温度変化からロックイン信号を取出すソフトも有効である。

図5 望遠レンズによるクレーンの遠隔測定 図5 望遠レンズによるクレーンの遠隔測定

図6は小さく複雑な形状をした骨インプラントの4点曲げ繰返し荷重試験の際の応力分布図である。人体に埋め込むので正確な強度測定を求められているが、歪ゲージ等では測定困難である。図6中の線分1は、ビス止め穴の応力集中部を通るラインで、その応力分布を図7に示す。

図6 骨インプラントの4点曲げ応力分布 図6 骨インプラントの4点曲げ応力分布
図7 骨インプラントの応力集中(図5中、線分1の応力分布) 図7 骨インプラントの応力集中(図5中、線分1の応力分布)

疲労限界測定

赤外線カメラによる疲労限界測定のメリットは迅速に測定できることである。通常の測定では1週間から1ヶ月掛かる測定を非破壊で約半日で測定できる。種々の材料や形状などを検討する開発・設計段階のスクリーニングには時間とコストダウンのメリットがある。最近装置の高齢化や高速化による介在物起因の超長寿命疲労(ギガヘルツ疲労)が問題となっているが、通常の手法では時間的に測定することが出来ない。赤外線カメラ法では初期のミクロ破壊のエネルギーを測定しているので非常に有効な手法と言える。通常の疲労限界よりも低い繰返し応力レベルの発熱で検出する。また2次元画像で疲労限界の箇所が分かるので、形状や溶接ビードの不良などの解明に役立つ。原理は応力測定で既に説明した熱弾性効果の式1からの乖離である。繰返し応力を増加させて行くと、ある応力レベルから熱の発生が急激に増加し、疲労によるミクロな破壊エネルギー(=散逸エネルギー)が増加する。繰返し応力と破壊エネルギーをプロットしたグラフの屈曲点が疲労限界である(図8)。さらに荷重を増加させると塑性域に入り疲労限界より何倍も大きいエネルギーが観察される。

図8 疲労限界測定 図8 疲労限界測定

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