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No.80「陰極チャージによる水素環境下での破壊じん性試験」

No.80 構造ソリューション特集号

陰極チャージによる水素環境下での破壊じん性試験~水素環境下における破壊じん性値を評価~
Evaluation of Fracture Toughness Under Hydrogen Environment with Cathode Charge

なぜいまこれが?

地球温暖化対策として高圧水素ガスインフラの整備が進んでおり、今後ますますの拡大が期待されます。一方で水素は鋼材を脆化させることが知られており、とくに大型構造物の脆性破壊は大事故につながるため、絶対に避けなければなりません。このような危険は、き裂の伸展に対する抵抗を評価する破壊じん性試験により評価できます。そのため、材料の選定や開発には破壊じん性値が重要な項目となっており、注目されています。

これがポイント!

金属材料への水素添加法の1つに、水溶液中で試験片を分極し、試験片に水素を侵入させる陰極水素チャージ法があります。この方法は簡易に侵入水素量を調整できることから、水素の影響を広く評価するのに適しています。しかし、水溶液中からサンプルを取り出すと侵入した水素は容易に大気中に拡散してしまうことから、大気中で機械試験することはできません。

破壊じん性試験は、あらかじめき裂を導入した試験片に変位を増加させながら除荷-負荷を繰返す試験ですが、前述の課題を解決するために、新たに水溶液中で陰極水素チャージしながら試験ができる手法を開発しました。図1に装置の模式図を示します。試験片をセルで囲い液が漏れないようにするとともに、試験片の取り付けを工夫することで試験装置と絶縁しました。

装置の模式図
図1 装置の模式図

図2に荷重と変位の関係を示します。大気中と比較し、陰極チャージ中では荷重が低下しており、水素が悪影響を与えていることがわかます。さらに、図2から破壊じん性値を計算するとともに、き裂が成長する最小応力場のパラメータである臨界応力拡大係数も求めることができます。

陰極チャージで添加される水素量は分析機器を用いて定量することもできます。金属材料の破壊じん性におよぼす水素の影響にご関心をお持ちの方はお気軽にご相談ください。

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