材料試験
破壊靭性試験
破壊靭性試験の概要
鉄鋼、各種非鉄金属、樹脂・複合材料、接着体などの材料の破壊靭性試験と構造物の健全性に関する評価に関し、破壊力学に基づく最新技術を保有し、試験・解析・評価を実施しています。
破壊靭性のエキスパートが、お客様のニーズに合った試験方法をご提案し、解析評価いたします。
実施可能な試験例
材料のき裂からの破壊しやすさを評価する各種の試験に対応いたします。
区分 | 試験名 | 主な規格 |
---|---|---|
線形弾性破壊靭性試験 | KIc(Kc,KJc)試験 | ASTM E399, ASTM E1921, ISO 12135, BS 7448 |
弾塑性破壊靭性試験 | JIc(Jc)試験 | ISO 12135, ISO 15653, ASTM E1820, ASTM E1921 |
CTOD試験 | ISO 12135, ASTM E1820, WES 1108, WES 1109, BS 7448 | |
応力腐食割れ試験 | KISCC(KIEAC,KEAC)試験 | NACE TM0177 Method D,ASTM E1681 |
HG-SCC試験 | HG-SCC | |
高速破壊靭性評価 | 計装化シャルピー衝撃試験 | ISO 14556,JIS B 7755 |
樹脂・複合材料・接着体の破壊靭性試験 | 樹脂材料の破壊靭性試験 | ASTM D5045,ISO 13586 |
層間剥離破壊靭性試験(DCB,ENF,MMB) | JIS K 7086,ASTM D5528,ASTM D7905,ASTM D6671,ISO 15024,ISO 15114 | |
接着体のモードⅠ破壊靭性試験 | ASTM D3433 | |
大型破壊靭性試験 | 広幅引張試験 | WES鋼種認定試験方法,学協会共同研究資料,関連文献 |
ディープノッチ試験 | WES鋼種認定試験方法 | |
ESSO試験 | WES 2815,ISO 14556 | |
大型落錘試験 | DWTT試験 | API 5L3,ASTM E436 |
構造健全性評価 | - | WES2805,WES2808,BS7910 |
線形弾性破壊靭性(KIc)試験
線形弾性破壊力学に基づく破壊靭性値の測定
疲労予き裂が存在する試験片を用いて、き裂が不安定成長する限界の応力拡大係数(KIc)やマスターカーブ法における参照温度(T0)を求める試験です。
試験片形状、試験条件等
試験片形状 | コンパクト(CT)試験片(0.16TCT(W=8 mm)~4TCT(W=203 mm))3点曲げ(SENB)試験片 |
---|---|
試験温度 | -196℃~100℃ |
試験機荷重 | 10N ~2,000kN |
試験速度 | 静的試験 K =0.55~2.75 (MPa√m/s) 高速試験 K >2.75 MPa√m/s (詳細はご相談ください) |
対応規格 | ASTM E399, ASTM E1921, ISO 12135, BS 7448 |
線形弾性破壊靭性(KIc)試験の事例
- 小型破壊靭性試験 [事例集PDF]
- 高温破壊靭性試験(KIc) [事例集PDF]
- 大型低温破壊靭性試験 [事例集PDF]
高速破壊靭性試験
近年、応力拡大係数の増加速度(K)が100MPa√m/s 以上の超高速破壊靭性試験のニーズが高まっており、当社では、高速度カメラにより開口変位量を計測することで、ASTM E399 A10 法の要求事項を満たす試験が可能になりました。
高速破壊靭性試験の事例
- 動的破壊靱性(KIc)試験 [事例集PDF]
弾塑性破壊靭性(JIc 、CTOD)試験
弾塑性破壊力学に基づく破壊靭性値の測定
KIc 試験同様、疲労予き裂が存在する試験片を用い、き裂先端の塑性変形が無視できない(小規模降伏条件を満足しない)破壊形態を示す場合の破壊靭性値を求める試験です。 KIc 試験に比べ、試験片の寸法の制約が緩いことから、比較的小さな試験片を用いて破壊靭性値を求めることができます。
JIc試験
ASTM E1820 やISO 12135 に準拠して、 JIc値やKJIc値、J-R 曲線を求めます。
JIc試験の事例
- 薄肉鋳鉄管の破壊靭性(JIc)試験 [事例集PDF]
CTOD(Crack tip opening displacement)試験
CTOD試験は、 KIc試験やJIc試験同様、き裂を有する材料の破壊靭性を求める試験の一つであり、不安定破壊が発生する限界をき裂先端開口変位で定義するものです。
試験規格
ISO 12135 | Metallic materials - Unified method of test for the determination of quasistatic fracture toughness |
---|---|
ISO 15653 | Metallic materials - Method of test for the determination of quasistatic fracture toughness of welds |
ASTM E1820 | Standard Test Method for Measurement of Fracture Toughness |
BS 7448 | Fracture mechanics toughness tests |
WES 1108 | き裂先端開口変位(CTOD)試験方法 |
CTOD(Crack Tip Opening Displacement)試験
CTOD試験の事例
- ASTM-E2899に準拠した平板表面き裂試験体の破壊靭性試験 [事例集PDF]
応力腐食割れ(KISCC)試験
腐食環境中におけるき裂進展限界
予き裂を有する試験片を腐食環境に浸漬し、き裂が進展する限界応力拡大係数(KISCC、 KIEAC、 KEAC)を求める試験です。NACE TM0177 Method D や ASTM E1681 に準拠し、DCB試験片や WOL試験片を用いた試験が可能です。腐食環境や試験温度については、ご相談ください。
車載用圧縮水素容器材料の応力腐食割れ試験
水素燃料電池自動車などに搭載されるアルミニウム合金製圧縮水素容器は、水素ガスに不純物として含まれる水分により、水素脆化を起こす場合があると考えられています。一般社団法人日本高圧力技術協会により制定された HG-SCC試験法規格に対応した試験を実施いたします。
HG-SCC試験の事例
- 圧縮水素容器用アルミニウム合金のHG-SCC試験 [事例集PDF]
高速破壊靭性評価
計装化シャルピー衝撃試験の概要
ストライカー(衝撃刃)に半導体歪ゲージを埋め込んだハンマーを用いてシャルピー衝撃試験を行い、衝撃荷重-変位線図を求めます。得られた曲線から、全衝撃エネルギー、き裂発生時エネルギー等を求め、高速破壊挙動を解析します。
試験仕様
試験機 | 容量 | 最大衝撃エネルギー500J (~800Jについては、ご相談ください。) |
---|---|---|
ハンマー衝撃刃形状 | 刃先R2mm、刃先角度30°、刃幅16mm | |
ハンマー持上げ角度 | 138° | |
試験片 | 0×10×55mm(VノッチまたはUノッチ) | |
試験温度 | −150℃~+ 300℃ | |
対応規格 | ISO 14556,JIS B 7755 |
試験結果例
計装化シャルピー衝撃試験の事例
- 金属材料の高速変形における動的破壊靱性挙動の評価 [事例集PDF]
樹脂・複合材料・接着体の破壊靭性試験
樹脂材料の破壊靭性試験(ASTM D5045、ISO 13586)
3 点曲げ試験片を用いて、樹脂材料の線形破壊力学的手法による破壊靭性(KIc)及びひずみエネルギー解放率(GIc)を求めます。KIcおよびGIcの有効性判定に必要な引張特性データの取得も可能です。
樹脂材料の破壊靭性試験の事例
- 樹脂材料の破壊靭性試験 [事例集PDF]
複合材料の層間剥離破壊靭性試験
樹脂複合材料(CFRP: Carbon Fiber Reinforced Plastic) の層間剥離の発生およびき裂進展に対する抵抗値である破壊靭性(GC、GR)を求めます。開口型(モードⅠ)、縦せん断型(モードⅡ)およびそれらの混合型に対する破壊靭性の測定が可能です。
複合材料の破壊靭性試験の事例
- 複合材料の層間破壊靱性評価 [事例集PDF]
- FRPの高速層間破壊靭性試験 [事例集PDF]
各種層間剥離破壊靭性試験法と規格
剥離モード | 試験法 | 規格 | ||
---|---|---|---|---|
JIS | ASTM | ISO | ||
モードⅠ | DCB(Double Cantilever Beam)法 | JIS K 7086 | ASTM D5528 | ISO 15024 |
モードⅡ | ENF(End Notched Flexure)法 | JIS K 7086 | ASTM D7905 | ISO 15114 |
モードⅠ・Ⅱ | MMB(Mixed-Mode Bending)法 | - | ASTM D6671 | - |
接着体のモードⅠ破壊靭性試験(ASTM D3433)
接着強度の測定方法には、ラップシェア試験、ピール試験等がありますが、モードⅠの荷重を付与した際の接着部のき裂進展を測定することにより、き裂進展およびき裂停止時の破壊靭性(ひずみエネルギー解放率(GIc、 GIa))を求めることができます。
接着体の破壊靭性試験の事例
- 高靱性接着剤の接着強度(モードⅠ破壊靭性)評価 [事例集PDF]
- 接着接合部のTENF試験 [事例集PDF]
大型破壊靭性試験
試験・評価技術 | 適用試験規格 | 試験実施例 |
---|---|---|
広幅引張試験 | WES鋼種認定試験方法 学協会共同研究資料 関連文献 |
極厚造船用鋼板、9%Ni鋼板 |
ディープノッチ試験 | WES鋼種認定試験方法 | 造船用鋼板 |
ESSO試験 | WES 2815,ISO 14556 | 造船用鋼板 |
大型破壊靭性試験の事例
- 表面切欠角変形付き十字継手広幅引張試験 [事例集PDF]
- 実構造物の劣化をトレースする塑性ひずみ付与技術 [事例集PDF]
大型落錘試験
120kJ DWTT 試験(破壊伝播評価試験)
極厚鋼材の落重試験(破壊伝播評価試験)が可能です!
落錐を自然落下させ、下部支持台にセットした試験片に打撃を与えて破断させ、破断に要したエネルギー値を求めたり、破断面観察により延性破面と脆性破面の破面率を求めて破壊伝播評価を行う落錐式のDWTT(Drop Weight Tear Test)試験機です。
120kJ DWTT試験機の仕様
形式 | 落錘式(重錘の自然落下方式) |
---|---|
容量 | 最大衝撃エネルギー120kJ |
重錘重量 | 55.9kN |
錘衝突速度 | 6.5m/s ・・・速度センサーによる実測データを表示 |
錘落下高さ | 2.2m |
対象試験片 | 板厚(19~45mm)×305mm×76mm (プレスノッチ、シェブロンノッチ加工可) |
試験温度 | -80~+80℃ |
適用試験規格 | API 5L3,ASTM E436 |
DWTT試験(破壊伝播評価試験)の事例
- 120kJDWTT試験機―ラインパイプ用鋼材 破壊伝播評価試験― [事例集PDF]
構造健全性評価
- WES2805 : 溶接継手の脆性破壊発生及び疲労き裂進展に対する欠陥の評価方法
- WES2808 : 動的繰返し大変形を受ける溶接構造物の脆性破壊性能評価方法
- BS7910 : Guide to Methods for Assessing the Acceptability of Flaws in Metallic Structures
作業の流れ
関連ページ・関連リンク
- 陰極チャージによる水素環境下での破壊靭性試験 [事例集PDF]
- ASTM E2899に準拠した平板表面き裂試験体の破壊靭性試験 [事例集PDF]
- 高靱性接着剤の接着強度(モードI破壊靭性)評価 [事例集PDF]
- 金属材料の高速変形における動的破壊靱性挙動の評価 [事例集PDF]
- 金属材料のソリューション技術 [事例集PDF]
- 樹脂材料の破壊靭性試験 [事例集PDF]
JFE-TEC Newsバックナンバー
- No.58(2019年01月)自動車、建築、造船等の各種分野における接合評価試験
- No.53(2017年10月)CFRPの特性評価技術(3)
このページに関する
お問い合わせはこちらから
- JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部
- 0120-643-777