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No.81「LA-ICP-MSによる微量元素イメージング分析」
JFE-TEC News No.81号 化学分析の最前線特集号 記事一覧

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No.81 化学分析の最前線特集号
LA-ICP-MSによる微量元素イメージング分析
Imaging Analysis for Trace Elements by LA-ICP-MS
なぜいまこれが?
レーザーアブレーション-誘導結合プラズマ質量分析法(LA-ICP-MS)は固体試料を直接微粒子化してキャリアガスでICP-MSへ搬送し、含有元素を検出する方法です。測定元素の検出強度を固体試料内の位置情報と紐づけることで二次元の元素イメージング図を作成することができます。特にアルカリ金属や微量(ppmレベル)に含有する元素のイメージングに有力な方法として注目されています。
これがポイント!
当社はナノ秒レーザーと呼ばれるLA装置を有しており無機材料をはじめとする硬い試料のアブレーション能力が高く、特にcmオーダー(最大10 cm幅)の広域の測定を得意としています。この特徴を生かしてリチウムイオン二次電池のLiや活物質(Ni、Co、Mn等)に相当する元素の分布調査に活用されてきました。
一方、レーザーの照射径を絞ることで、µmオーダーの変化を捉えることもできます。バイオミネラルと呼ばれる骨や歯、魚類の耳石など生体が作り出す無機化合物の温和な生成条件を模倣し、環境負荷を低減した材料開発の研究が行われていますが、これらに含まれる主成分および微量元素の分布調査にも適用されています。ヒザラガイは歯舌と呼ばれる歯を持ち、歯冠部に黒色の磁鉄鉱(Fe3O4、マグネタイト)を沈着させています。茶色く見えるFe沈着部ではMnやMgなどの微量元素を含有していることがわかりました(図1)。
試料をご提供いただきました岡山大学 根本理子准教授に感謝申し上げます。
近年は無機材料に留まらず、医薬品中の成分を目的の場所に届ける仕組み(ドラッグデリバリーシステム、DDS)の実現に向けた開発の中で、対象とする臓器や細胞中の元素分布調査にLA-ICP-MS法が用いられるなど用途が拡大しています。2024年11月には新装置が稼働します。操作性や解析ソフトウエアの機能が向上し、より迅速に結果をご報告できるようになります。お客様の目的に応じた測定法のご提案が可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
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