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固体高分子形燃料電池の評価技術

各部材の解析に加えて試作・発電試験・劣化評価まで、ご要望にあわせたソリューションを提案いたします

固体高分子形燃料電池(PEFC)とは

固体高分子形燃料電池(PEFC)とは、イオン伝導性を有する高分子膜(イオン交換膜)を電解質として用いる燃料電池です。このタイプの燃料電池は、小型化と軽量化が可能であり、エネファームや燃料電池車などに利用されています。一方で、他の種類の燃料電池と比べると発電効率は低めです 。

セパレータの耐食性評価

セパレータ候補材料の耐食性を簡便に評価します。微量な溶出金属成分の定量評価、接触抵抗測定も可能です。

模擬PEFC環境下での電気化学測定によるセパレータの耐食性評価

当社の開発したフッ素樹脂製電気化学セルの使用により、測定系のコンタミ成分を最小限に抑えた評価が可能です1),2)。フッ素樹脂製電気化学セルでは、ガラス製セルに比べてガラス由来のコンタミ成分(Si)の混入を定量下限未満まで、また参照電極由来の塩化物イオン(Cl-)の混入を10分の1以下まで抑制した環境での評価が可能です。

1)特開2022-22086 2)JFE技報, No.47, p.75-77( 2021).

  • 電気化学セル(ガラス)写真
    ガラス製電気化学セル
  • 電気化学セル(樹脂)写真
    フッ素樹脂製電気化学セル
  • 2ppm F-を添加した硫酸(pH 3)溶液中における電気化学セルからのガラス成分溶出量(mg L-1)の例

    ※試験温度80℃、試験時間:168 h
      Si Cl
    ガラス製セル 1.3 13.1
    フッ素樹脂製セル <0.1 1.1

耐食性評価事例

フッ素樹脂製セルにより、PEFCカソード環境を模擬したpHの異なる硫酸溶液中で未処理SUS304の定電位分極試験を行いました。pHの違いによる電流密度の差はほとんど見られませんが、ICP-MSにより試験溶液中に溶出したステンレス鋼の主成分(Cr, Fe, Ni)をICP-MSで定量することで、電気化学試験だけでは判断できない微量な溶出量の差を明瞭に評価することができました。また、白金対極に析出した成分も分析対象とすることで、高精度な耐食性評価技術を提供します。

  • グラフ電流密度の経時変化
    SUS304の電流密度の経時変化3)
  • グラフ定量分析結果
    ICP-MSによる定量分析結果3)

3)箕浦ら,材料と環境,70, p.60-63,(2021).

試作・発電試験と部材の劣化解析

部材の試作から発電試験、劣化解析までワンストップでの評価を実施します。

試作

お客様より支給いただいた部材を用いてセル(セパレータ、CCM、MEA)を試作します。電極面積は250mm×250mm程度まで試作可能です。

  • MEA写真
    試作したMEAの外観
  • 単セル写真
    単セルの外観

※CCM:Catalyst Coated Membrane(触媒層付き膜) ※MEA:Membrane Electrode Assembly(膜・電極接合体)

発電試験

お客様支給のセル構成部材(セパレータ、触媒、拡散層、高分子膜)を用いた発電試験が可能です。また、インピーダンス測定によるセルの劣化診断が可能です。

  • 発電装置写真
    発電装置の外観
  • 電圧経時変化グラフ
    Au めっきSUS304 セパレータ(めっき厚:50 nm)を組込んだセルの電圧経時変化

セパレータおよびMEA の分析、各種解析

セパレータの表面観察や断面観察により表面処理層の劣化状態や基材の腐食状態を明らかにします。
また、セパレータの腐食によりMEAに溶出、移着したコンタミ成分の分布状態をXRFで可視化し、汚染状態を明らかにします。

  • 発電装置写真
    発電後におけるAu めっきSUS304
    セパレータの外観(アノード側)
  • 電圧経時変化グラフ
    MEAの外観
  • 電圧経時変化グラフ
    MEA中におけるFeの
    元素マッピング像

XRFを用いて発電試験中にセパレータと接していたMEA全域を分析した結果、コンタミ成分(Fe)がMEAに移着していることが明らかとなりました。XRFによりMEAの広範囲(最大100 mm × 100 mm)を大気中において短時間で分析可能です。

※XRF:X-ray Fluorescence (蛍光X線分析)

GDLの機械特性評価

セルの締付を模擬し、GDLのばね性、侵入量、流体透過性を評価します。

GDLのばね性(へたり)、侵入量評価

ばね性(へたり)評価では、GDL圧縮時における厚さの変化や除荷時の復元量を測定します。
侵入量評価では、圧縮時においてGDLがセパレータ流路に入り込んだ時の侵入量を測定します。

  • ばね性(へたり)評価図
    ばね性(へたり)評価
  • 侵入量評価図
    侵入量評価

GDLのガス透過性評価

ガス透過性評価では、GDL中のアノードガス(水素)またはカソードガス(空気、酸素)などの透過量を測定します。空隙率の違いによるガス透過性の差を評価します。

  • 流体透過性測定図
    流体透過性測定のイメージ
  • 透過性測定結果図
    GDL およびPTL に対する水の透過性測定結果イメージ

微量成分分析

高精度な分析技術により、主要成分や微量不純物成分を定量いたします。

化学分析による微量成分の定量評価

微量成分分析(ICP-MS,IC)

  • 電解質膜の成分評価
  • セパレータの成分評価
  • 特性試験後溶液や溶出成分の評価

元素イメージング(μXRF)

  • MEAや触媒中の元素分布評価
  • 発電装置写真
    トリプル四重極型ICP-MS分析装置
    (微量金属成分分析用)
  • 電圧経時変化グラフ
    ICP-MS 測定用クリーンルーム
    (ISO クラス6)
  • 電圧経時変化グラフ
    イオンクロマトグラフ
    (IC)
  • 電圧経時変化グラフ
    微小部X線分析装置
    (μXRF)

※ICP-MS:誘導結合プラズマ質量分析  ※IC:イオンクロマトグラフィー

物理解析

先端物理解析により、発電部材の特性理解や材料開発に直結するデータをご提供いたします。

セパレータ表面の評価

発電前後のセパレータの極表層を比較することで、セパレータ表面の腐食形態を明らかにします。
セパレータ表面処理層と基材界面に注目した高空間分解能分析も可能です。

グラフ定量分析結果
 セパレータ表面の極低加速電圧SEM 像(上)と、表層断面のSTEM 解析結果(左下: 明視野像、右下: 酸素の分布像)

MEA層の構造、成分の評価・断面構造の評価

発電前後のMEA層断面の形態や微量元素の分布を明らかにします。MEA層の全体像、およびMEAを構成する各層の断面形状や厚さ分布を評価します。

  • マッピング像
    白金のFE-EPMAマッピング像
    発電によって触媒層から固体高分子膜中に溶出したごく微量な白金の分布を捉えています。
  • 断面SEM像
    MEA全体の断面SEM像

アイオノマーのナノレベル三次元分布の評価

PEFC発電における化学反応場の微細構造を三次元で可視化します。アイオノマーがカーボン担体の空隙に含浸する部分(紫)と担体の表面を覆う部分(緑) を識別できます。

被覆率や体積分率等の各種パラメーターも算出可能です。

各成分の空間分布
無染色STEMトモグラフィ技術により可視化した各成分の3D+2D空間分布

要素となる技術

作業の流れ

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JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部
0120-643-777

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