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2020年09月01日

燃料電池心臓部のマルチスケール構造解析技術の確立

このたび当社は、固体高分子形燃料電池(PEFC: Polymer Electrolyte Fuel Cell)の心臓部である膜/電極接合体(MEA: Membrane Electrode Assembly)を、マルチスケールで構造解析する技術を構築しました。

極低加速走査電子顕微鏡(ULV-SEM)や最先端の走査透過電子顕微鏡(STEM)など当社で培った技術を駆使してMEAの複雑な構造をマイクロメートルからナノメートルのオーダーで可視化し、定量的に評価する技術を確立しました。特にナノメートルオーダーの可視化技術であるSTEMでは、高感度X線分析技術や複数の検出器を用いた像観察技術により、これまで困難であったMEA触媒層中における、触媒プラチナ(Pt)、プロトンの輸送を担うアイオノマー、および水やガスの通り道である空隙など、重要な構造をナノレベルで立体的に可視化することに成功しました。アイオノマーなどの三次元分布がわかることで、PEFCにおける電気化学反応をミクロな視点で議論することが可能となり、さらなる性能・耐久性の向上につながる知見が得られることが期待されます。

PEFCは、燃料電池自動車(FCV)用燃料電池の主流として、研究開発が精力的に進められています。当社の物理解析技術を提供することで、お客様におけるPEFCの研究開発に貢献し、持続可能な社会をつくる一助となることを目指します。

MEA断面のマルチスケール観察事例

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