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No.14「極低加速SEM-EBSPを用いた結晶相解析」
JFE-TEC News No.14号 極低加速SEM-EBSPを用いた結晶相解析 他 記事一覧
極低加速SEM-EBSPを用いた結晶相解析
No.14 極低加速SEM-EBSPを用いた結晶相解析 他
極低加速SEM-EBSPを用いた結晶相解析
IT関連、バイオ、素材などの産業分野において、ミクロからナノレベルの材料制御が要求されており、その構造を明らかにする解析技術が必要になっています。
当社が国内に先駆けて導入した極低加速電圧走査顕微鏡(ULV-SEM; Ultra Low Voltage Scanning Electron Microscope。100Vまで加速電圧を低くできる。)は、電子線を細く絞ったまま、電子の侵入深さを小さくできるため、通常のSEMに比べ、ナノレベルの材料表面の観察に適しています。
EBSPによる結晶構造解析
SEMにEBSP(Electron Back Scattering Pattern)装置を組み合わせると、結晶粒ごとの方位分布や結晶相の分布など、試料表面の微細な結晶構造を調べることができます。特にULV-SEMと組合せることで、これまで困難であったサブミクロン以下の微細構造を観察することができるようになりました。
ULV-SEM-EBSPを用いた測定事例
図1に、市販のDVDにおける記録層を測定した例を示します。DVDでは、レーザー照射によって生じる、結晶相とアモルファス相との相変態を情報の記録に利用しています。この図では、厚さ10nm程度の無機系薄膜記録層中において、未記録部すなわち結晶相の中に、サブミクロンサイズの長円状をしている記録部すなわちアモルファス相が、暗く観察されています。
図2に、焼入れされた鋼中における残留オーステナイト相の分布を示します。従来のSEM-EBSPでは、残留オーステナイト相がサブミクロン程度と細かい上、母相のマルテンサイト相に歪が多いため、EBSP解析が困難でした。ULV-SEMと組み合わせることで、EBSP測定の空間分解能が高くなり、残留オーステナイト相の分布が得られました。
このように、ULV-SEM-EBSPを用いることにより、ナノレベルの極表面形状観察に加えて、結晶構造解析のニーズにもお応えできるようになりました。
図1 ULV-SEM-EBSPで調べた市販DVDにおける無機系薄膜記録層
図2 ULV-SEM-EBSPで測定した鋼中残留オーステナイト相の分布
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