JFE-TEC News

関連メニュー

No.29「極微量分析技術(2)」

JFE-TEC News No.29号 電池LAB(4) 他 記事一覧

サムネイル画像
No.29(2011年10月)
全文 PDF (2.4 MB)

No.29 電池LAB(4) 他

極微量分析技術(2)~ICP質量分析法による多元素同時分析~

四重極型誘導結合プラズマ質量分析(ICP-QMS)

写真1 四重極型ICP-MS装置
写真1 四重極型ICP-MS装置
(ICP-QMS)

四重極型誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-QMS、写真1)は、多元素同時分析及び高感度分析が可能な装置として半導体、食品など様々な分野で利用されています。しかし、例えばNi基合金など一部の高純度合金、セラミックスなどの無機材料では、試料溶液化が困難なこと、共存元素による多原子イオンの重なり(スペクトル干渉)が大きいことにより、微量分析への適用は限定的になっていました。

高純度金属やセラミックスの極微量分析

当社では、反応ガス(H2もしくはHe)と多原子イオンを衝突させることにより衝突誘起解離や脱エネルギー化してスペクトル干渉を抑制する方法(オクタポール・リアクション法:ORS)を様々な材料分析に適用できる様にしました。また、試料の溶液化においては、高純度酸と極微量分析用器具を用いてクリーンルーム内で実施するとともに、当社の長年の経験を活用することにより、試料汚染の少ない溶液化を実現しました。さらには、高濃度マトリックス溶液を希釈せず測定する技術(タイムインジェクション試料導入法)を活用することにより、10,000倍程度に希釈して測定する従来法に比べて、定量下限が一桁以上向上しました。これら技術の集積により、他社にない高感度な多元素同時分析を実用化しています。

分析実施例

分析例として金属タングステン中のSe分析結果を表1に示します。従来の分析法では、アルゴンの2原子分子によるスペクトル干渉によって高い異常値となるのに対し、ORSではスペクトル干渉を抑えることにより低い正常値となり、極微量分析ができています。
また、インプラント材料であるリン酸カルシウムの極微量分析では、LiからUまで64成分をppmレベルで分析できることを確認しています(表2)。
お客様のご要望に応じて各種材料中の不純物濃度を迅速に測定いたしますので、ご興味のある方は是非ご相談下さい。

表1 金属タングステン中のSe分析結果(ppm)
成分 分析値
従来法 ORS 法
Se 540 <1

表2 リン酸カルシウム中の定性分析結果(ppm)
分析成分 定性分析結果
Na,Mg,Al,Ti,Fe,Zn,Sr,Ba (8成分) 1~10
B,Cr,Mn,Ni,Cu,Ge,Se,Zr,Mo,Rh,Ag,Cd,In,Sn,Te,Os,Ir,Pb (18成分) 0.1~1
Li,Be,V,Co,Ga,As,Rb,Y,Nb,Ru,Pd,Sb,Cs,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,
Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Hf,Ta,W,Re,Pt,Au,Hg,Tl,Bi,Th,U (38成分)
<0.1

関連リンク・関連記事

このページに関する
お問い合わせはこちらから

JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部
0120-643-777

0120-643-777

月~金:9:00~17:30(祝祭日を除く)

?
  • TEL
  • MAIL
  • ご依頼の流れ
  • 質問