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No.30「FE-EPMAによる高感度元素マッピング」
JFE-TEC News No.30号 テラヘルツ波非破壊検査装置 他 記事一覧
FE-EPMAによる高感度元素マッピング
No.30 テラヘルツ波非破壊検査装置 他
FE-EPMAによる高感度元素マッピング~市販ネオジム磁石の分析事例~
FE-EPMA の特徴
EPMA(Electron Probe Micro Analysis)は、電子線により励起された試料表面付近の特性X線を結晶で分光し、局所領域の元素分析を行う手法です。走査電子顕微鏡に広く搭載されるエネルギー分散型X線分析(EDX: Energy Dispersive X-ray Spectrometry)に比べて、エネルギー分解能と軽元素(B, C)の検出感度が高いので、希土類や軽元素の分析には威力を発揮します。さらに近年開発された電界放出型の高輝度電子銃を搭載したFE(Field Emission)-EPMAでは、鮮明な元素マッピングが可能となりました。
軽元素・希土類元素の分析例
近年盛んに研究開発が行われている希土類元素を含む材料として、電気自動車・ハイブリッド自動車用のモータなどに使われるネオジム磁石があります。この磁石の主相はNd2Fe14Bですが、性能向上には、微量添加元素や不純物元素の分布が重要といわれています。
図1は、市販ネオジム磁石の断面を定性分析した例です。EDXのスペクトルと比較すると、EPMAでは特性X線エネルギーが近接しているFe、Dy、Nd、Prも分離でき、わずかに含まれるMnのピークも検出されました。カラーマッピング(図2)では、Feリッチな主相に加え、Nd、Pr、Mnリッチ相、Bリッチ相が捉えられています。微量元素に注目すると、DyやMnにも濃度差があることがわかります。定量分析を行うと、例えばMnの濃度は、a点では0.2%、b点では0.5%となり、わずかな濃度差を検知し可視化できます。
当社では、FE-EPMAを用いたさらに高倍率での分析や、EBSD(Electron Backscatter Diffraction)法と組み合わせた結晶粒ごとの分析も行います。是非お気軽にご相談下さい。
図1 ネオジム焼結磁石の特性X 線スペクトル(EDX との比較)
図2 FE-EPMA によるカラーマッピング
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