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No.33「電池材料の物理解析技術(2)」

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No.33(2012年10月)
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No.33 電池材料の物理解析技術(2) 他

電池材料の物理解析技術(2)~収差補正走査透過電子顕微鏡によるLiMn2O4の表面近傍に存在するMnの微細構造解析~
Structural Characterization of Existing Mn near the Surface of LiMn2O4 by Cs Corrected STEM

No.33
電池材料の物理解析技術(2) ~収差補正走査透過電子顕微鏡によるLiMn2O4の表面近傍に存在するMnの微細構造解析~
Structural Characterization of Existing Mn near the Surface of LiMn2O4 by Cs Corrected STEM

収差補正走査透過電子顕微鏡によるリチウムイオン二次電池材料の微細構造解析

リチウムイオン二次電池は、車載向けや定置式蓄電池としての需要が高まったことで、性能向上に向けた研究開発が一層加速しています。特に、活物質(充放電反応時にLiの受容/供与に関与する物質)の微細構造解析や、Liの挙動解析はますます重要性を増しています。微細領域を原子レベルで観察し、Li原子を取りまく状態を解明するためには、収差補正走査透過電子顕微鏡(以下、Cs-corrected STEMとする)とEELS法(電子エネルギー損失分光分析:Electron Energy-Loss Spectroscopy)を組み合わせた解析手法が効果的です。

Mn系正極材の構造解析

活物質として使用されるLiMn2O4粉末のCs-corrected STEMによる解析例を示します。図1は、LiMn2O4を原子レベルで観察したHAADF(高角度散乱暗視野:High Angle Annular Dark-Field)像とABF(環状明視野像:Annular Bright-Field)像です。ABF像は軽元素の観察に有効で、HAADF像では見えなかったLiとOの原子コラムが直接観察できます。Liの出入りにともなう正極材の構造変化を直接観察できるものと期待されます。

図1 LiMn2O4粉末のHAADF像(左)と、ABF像(右)
図1 LiMn2O4粉末のHAADF像(左)と、ABF像(右)

図2は、LiMn2O4粒子表層部から内部にかけて、20nm間隔でEELS法による点分析を行った結果です。Mnの価数由来によるエネルギーシフトが見られ、粒子表層部ではMn2+に近い状態であるのに対し、内部では Mn4+になっている様子が確認できます。

図2 LiMn2O4粉末のEELSスペクトル
図2 LiMn2O4粉末のEELSスペクトル

新たに導入したCs-corrected STEM(日本電子製ARM-200F)を用いることにより、高いエネルギー分解能でEELS分析を行うことができ、それによりLi原子の状態解析を含めて、リチウムイオン二次電池材料の微細構造を解析することが可能です。是非お気軽にご相談下さい。

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