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No.41「微細構造を明らかにする物理解析(14) 」
JFE-TEC News No.41号 薄膜旋回型高速ミキサーを使った連続処理システムの導入 他 記事一覧
微細構造を明らかにする物理解析(14)
No.41 薄膜旋回型高速ミキサーを使った連続処理システムの導入 他
微細構造を明らかにする物理解析(14) ~生物試料のFIB断面SEM観察~
Cross-sectional SEM Observation of Biological Samples Prepared by FIB
はじめに
従来、生物試料の高分解能組織観察には、透過型電子顕微鏡(TEM)が用いられてきました。しかしながら、高加速電圧が必要なTEMでは、電子線によるダメージが大きく、また観察視野が狭くなったり、観察サンプル作製に時間がかかったりするといった課題を抱えていました。当社は、最新の集束イオンビーム(FIB)加工装置を搭載した極低加速電圧SEM(FIB-ULVSEM)を用いることにより、TEMの弱点を克服し、容易に組織観察を行うことができる手法を見出しました。
FIB-ULVSEM を用いた生物試料の観察事例
図1は、FIB-ULVSEM(加速電圧:30kV)を使って観察したマウス肝臓の写真です。FIB-SEMのSTEM検出器により、電子線によるダメージを抑え、明瞭なコントラストで観察可能なことがわかります。
図2は、FIBにて作製した蛙の舌の断面を、加速電圧1kVで観察したものです。このように、ULVSEMにて高分解能反射電子像を見ることにより、良好なコントラストで組織観察ができ、試料表面の情報が得られます。
図1 ミクロトームによって作製したマウス肝臓のSTEM写真 |
図2 FIBによって作成した蛙の舌の高分解能反射電子像写真 |
また、TEM観察に供することができる厚さで大きなサイズの薄膜サンプルを作製することは困難です。このため、TEMでの観察領域には制限がありますが、ULVSEMの場合は、薄膜とする必要がないため、広い観察視野をとることが可能です。このように、FIB-ULVSEMを用いることにより、TEMに比べて試料前処理を簡略化でき、かつ広領域の生物組織観察が行えます。
おわりに
生物試料の組織は非常に立体的に複雑なものが多いにもかかわらず、従来のTEM観察では、局所的な情報になりがちでした。今回ご紹介したFIB-ULVSEMでは、高分解能で、容易に全体感の把握が可能です。また、FIB加工とSEM撮影を繰り返すことによって、さまざまな材料の3D構造解析も可能です。
ぜひお気軽にご相談下さい。
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