No.42「微細構造を明らかにする物理解析(16)」
~STEMを使った磁性多層膜の高分解能観察~

No.42
微細構造を明らかにする物理解析(16) ~STEMを使った磁性多層膜の高分解能観察~
High-resolution Observation of Magnetic Multilayer Film by STEM

はじめに

硬磁性相と軟磁性相を有するコンポジット磁石は、単相の磁石より高磁化・高保磁力を有する高性能磁石として知られています。これらはナノコンポジット磁石と呼ばれており、高い磁力を発現させるには、各磁性相の積層構造をナノスケールで制御することが必要であり、それを行うためには、磁性多層膜を高分解能で観察することが重要です。

観察事例

図1に、高性能永久磁石として注目されているSm1.9Co5を用いた異方性ナノコンポジット磁石の断面TEM像と相界面のSTEM-HAADF像を示します。磁石をFIBマイクロサンプリング法により薄片化して、収差補正型走査透過電子顕微鏡(Cs補正STEM)により観察した事例で、Sm1.9Co5(硬磁性相)とαFe(軟磁性相)が10数nm厚さで交互に積層されている様子が明瞭に観察できます。

図2は、試料の熱処理前後で観察した結果です。エネルギー分散型X線分光法(EDX)によるナノスケールのマッピングにより、Sm1.9Co5相からαFe相に向けてCoが拡散している様子が確認できます。

Sm1.9Co5 /αFeの積層構造および相界面のSTEM-HAADF像(熱処理前)
図1 Sm1.9Co5 /αFeの積層構造および相界面のSTEM-HAADF像(熱処理前)
熱処理前後のSTEM-EDXマッピング
図2 熱処理前後のSTEM-EDXマッピング

当社では、微細構造解析のための高度な試料調整技術と観察技術を保有しており、ナノスケールでの物質構造の観察と分析を行うことが可能です。ご興味があれば遠慮なくご相談ください。

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