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No.53「微細構造を明らかにする物理解析(19)」

No.53 小特集:マルチマテリアル

微細構造を明らかにする物理解析(19)~電子顕微鏡による異種材料接合界面の解析技術~
Analysis by Electron Microscopy of Adhesive Interface of Different Material

多様な素材の長所を生かすマルチマテリアル化の推進には、材料の接合技術を確立することが重要です。当社は各種複合材料や異種材料の接合界面を、電子顕微鏡技術を駆使して、マルチスケールで解析しています。

せん断剥離面の解析

図1(a)はCFRPとAl合金を接着剤で接合し、せん断引張試験を行った試料の剥離面を、走査電子顕微鏡(SEM)で観察した結果です。両素材と接着剤との界面で剥離している部位と、接着剤内部の凝集破壊部位が確認できます。図1(b)は、接着剤の凝集破壊部断面(イオンミリング加工法により作製)のSEM像です。熱に弱い接着剤と金属との界面についても独自技術によりダメージの少ない断面が得られています。Al合金上に前処理層として形成された板状粒子の隙間に接着剤が入り込んでいる様子が確認され、前処理層が接着剤とAl合金の接合を強固にしていることが推定できました。

接着界面のナノレベル解析

図2はAl合金と接着剤界面のCs補正STEM(球面収差補正走査透過電子顕微鏡)観察事例です。図2(a)のSTEM像ではAl合金と接着剤との界面に5nm程度の薄い前処理層が認められます(図1とは異なる前処理です)。EELS(電子エネルギー損失分光)測定結果より前処理層直下の母材部分が金属Alとは異なり、水酸化物であることがわかりました(図2(b))。金属の最表層の状態変化は前処理や接着剤との結合に影響を及ぼすことが考えられます。このような接合界面における微量元素の分布を、高感度EDX(エネルギー分散型X線分光)を用いて調べることも可能になっています。

おわりに

今後も、熱等のダメージを受けやすい試料界面の断面加工、観察が難しい界面の可視化にチャレンジしていきます。複雑な接合界面の可視化、接合メカニズム等にご興味のある方は、お気軽にご相談ください。

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