赤外線カメラソリューション
サーモグラフィ(高性能赤外線カメラ)で見えない欠陥を視る(2)
熱弾性効果を用いた応力集中部検出(き裂検出)
金属、セラミックス、プラスチックなどの固体には、圧縮すると発熱し、引っ張ると吸熱するという熱弾性効果があります(図4)。この現象の関係式は算出式(2)に示されます。(2)式より、既知の物性値を用いれば、温度変化を測定することで応力変化に換算することができます。
この赤外線カメラを用いた応力測定は、構造物などの破壊の予知に利用することができます。つまり、稼働中の構造物や機器の応力状態を2 次元の動画として測定できるので、実働荷重においてき裂が発生している箇所の応力集中などの検知が可能となります。現在老朽化により問題となっている、橋梁や天井クレーンなどの大型構造物のき裂検知に利用できます。
この方法は、光学機器による非接触測定法に基づくので、足場を組まずに地上から望遠レンズによって測定できることに特長があります。したがって、き裂検知の一次スクリーニングに適しており、時間とコストの大幅な低減が可能となります。
ここで、応力による温度変化は、例えば鉄鋼の場合Δσ=1MPaのときΔT≒1mKと非常に微小であり、環境温度の変化などのノイズを受けやすい測定となります。また、構造物に作用する応力の多くは、瞬間的に発生するものです。そこでJFEテクノリサーチでは、瞬間的に発生する応力を連続的にかつ精度よく解析するため、独自に"短時間ロックイン解析法"を開発し、最大応力発生箇所の検出精度を向上させています。
*熱弾性効果:物質を断熱的に弾性変形させると温度変化が生じる現象
鋼球落下試験の衝撃応力
鋼板に鋼球を落下させた瞬間の衝撃応力を可視化した事例を図5に示します。
図5 鋼球落下試験
き裂試験片に発生する衝撃応力
3点曲試験により、疲労き裂先端に発生する得意応力場を検出した結果を図6に示します。
図6 3点曲げ試験
作業の流れ
関連ページ・関連リンク
JFE-TEC Newsバックナンバー
- No.55(2018年4月)赤外線カメラによる疲労き裂の遠隔検査技術
このページに関する
お問い合わせはこちらから
- JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部
- 0120-643-777