樹脂・複合材料の不具合原因調査・解析

関連メニュー

次亜塩素酸水による樹脂・ゴム材料の強度劣化評価と寿命予測

樹脂やゴム等の各種環境における強度劣化結果をアレニウスプロット化する事で寿命予測する事ができます。

ページ内メニュー

次亜塩素酸水による強度劣化評価の背景

Oリング、パッキンなど多くのゴム材料が、室内製品の部材に使用されています。コロナ禍対応のため、次亜塩素酸水により室内製品を消毒する機会が増加すると予想されます。次亜塩素酸は、ゴム分子を酸化劣化させ分子切断するため、 強度特性を劣化させることから、製品機能が低下するのではないかと懸念されています。

調査結果例

  • (1) 環境劣化試験

    天然ゴム(NR)を高温(60~100℃)の次亜塩素酸水(有効塩素濃度200ppm、pH6.3)中に浸漬し、引張破断強度の経時 変化を調査しました。さらに破断強度10%低下に要する浸漬日数を読み取りました(図1)。

    引張破断強度グラフ
    図1 NRの引張破断強度評価結果
  • (2) アレニウス法による活性化エネルギー算出

    図1の結果をアレニウスプロット化した結果直線の傾きから、劣化反応の活性化エネルギーは次亜塩素酸水中の場合に 約57kJ/mol、イオン交換水中の場合に約63kJ/molでした(図2)。

    a)次亜塩素酸水中への浸漬 b)イオン交換水中への浸漬
    図2 アレニウス法によるNRの寿命予測結果
  • (3) 寿命予想線図作成

    図3に寿命予想線図を示しました。 この結果から、NRが10%破断強度が10%低下するまでに、常温のイオン交換水中では約120日間を、次亜塩素酸水中では約60日間を、要することがわかりました。現実には1日あたりの次亜塩素酸水とNRとの接触時間ははるかに短時間であるためさらに寿命は長時間であると考えられます。

    NR a)次亜塩素酸水中への浸漬 b)イオン交換水中への浸漬
    図3 NRの寿命予想線図(寿命;破断強度が初期の10%低下)

他の環境条件への応用

同様の手法を用いて種々の高分子材料について各種環境(温度、湿度、薬品、UV-C照射等)負荷による材料物性の 劣化評価と寿命予測が可能です。

ただし予測結果と実際の相関については十分に確認する事が必要です。

作業の流れ

JFE-TEC Newsバックナンバー

このページに関する
お問い合わせはこちらから

JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部
0120-643-777

0120-643-777

月~金:9:00~17:30(祝祭日を除く)

?
  • TEL
  • MAIL
  • ご依頼の流れ
  • 質問