医療機器・インプラント材料評価

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注射剤用ガラスバイアルからの溶出元素評価

生地管や内壁コーティングの異なるバイアルからの溶出元素を評価いたします。

溶出元素による毒性リスクと品質影響

  • 医薬品は包装システムの材料・成分と化学的相互作用を生じる可能性があり、その結果は医薬品の毒性製剤の安定性に影響を与える大きな問題となります。
  • 容器から溶出する成分の中でも、微量元素は元素不純物としてICHガイドライン(Q3D;元素不純物試験、Q3E;溶出物浸出物試験)や各国の局方に取り上げられ、毒性リスク評価の対象になっています。
  • 特に注射剤容器から溶出する元素は製剤の安定性への影響が懸念されており、毒性の観点だけではなく製剤の品質評価においても重要な要素であると考えられています。
容器写真
注射剤容器の例

バイアル種類ごとの溶出元素評価

生地管や内壁コーティングの異なるバイアルについて、2種類の溶媒を用いて溶出試験を実施し、溶出元素のスクリーニング分析を行いました。

バイアルの種類と検出元素

バイアルの種類* 検出元素
溶媒:水 溶媒:酸性溶液
透明 メーカーA(ノーマルタイプ) B,Al,Ba B,Al,Fe,Sr,Ba
メーカーB(ノーマルタイプ) B,Al,Ba B,Al,Zn,Sr,Ba
メーカーB(低溶出タイプ) - Al
褐色 メーカーC(ノーマルタイプ) B,Na,K,Ba B,Na,Al,K,Ti,Fe,Sr,Ba
メーカーD(ノーマルタイプ) B,Na,Al,Si,K,Ba B,Na,Al,Si,K,Ti,Fe,Ba
メーカーD(低溶出タイプ) B,Na,K B,Na,Al,K,Ti,Fe

*メーカーにより生地管が異なり、低溶出タイプは内壁コーティング等の処理あり。

  • 透明バイアル、褐色バイアルともに、ノーマルタイプでも、メーカー(生地管)によって検出される元素数や元素種が異なります。
  • 褐色バイアルは、酸性溶液の溶媒でいずれもFeが検出され、原料の添加物由来の影響を確認できました。

なお、調査した透明バイアルでは、検出元素数の少ないバイアルほど、主薬由来の類縁物質量や不溶性異物の増加量が少なく、より高い製剤の安定性を示す傾向にあったことも分かりました(製薬会社からのご提供情報)。

測定装置と測定可能元素例

  • 対象元素や予想濃度等にあわせて、最適な装置で測定を行います。
  • スクリーニング分析で検出された元素を定量することも可能です。
  • 信頼性基準対応も実施しております。

測定装置例

  1. ケイ素(Si):ICP発光分光分析装置
  2. ナトリウム(Na)及びカリウム(K):フレームレス原子吸光分析装置
  3. その他63元素:ICP質量分析装置
CCD検出器搭載マルチ型ICP発光分析装置写真
ICP発光分光分析装置

測定可能元素例

測定可能元素
測定可能な元素例(赤色)

作業の流れ

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