磁性材料、モータ評価

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モータ特性評価

モータベンチとは

試験するEV・HEVの駆動部品(エンジン、モータ、発電機)を供試体とし、作業台(ベンチ)に据え付け、負荷モータにより駆動・出力回収を行い、供試体に負荷をかけて、性能試験を行うための試験機です。駆動・吸収側には、トルクメータが取り付けられており、それらを稼働させながらモータ効率トルク、回転数、耐久性などを計測する設備です。

モータベンチによるEVモータ特性評価

5kWモータベンチによる評価

モータ効率には、鉄心・磁石などの電磁気材料、ステータ・ロータなど構造設計、モータ駆動系電気設計など数多くの要因が影響しますが、その影響を明らかにするためにもモータ単体としての性能をまず評価することが求められます。

当社では、各種モータ(出力5kW程度まで)に対応した試験ベンチ(図1)を用いて試験モータを駆動し、効率・トルク特性などのモータ性能を測定評価します。

モータ形状に合わせたベンチ取付け治具を作製、モータを種々の駆動条件で回転させ、下記の測定を可能としています。5kWモータベンチによる通電試験では、回転数最大9000rpm、トルク最大5N・m(ギア使用時10N・m)におけるモータ効率、トルク-回転数-電流特性、モータ振動、鉄心磁束波形、電圧波形、電流波形などの測定が可能です。また外部モータ駆動によるロストルク、逆起電力(誘起電圧定数)測定のほか、オフベンチで、線間抵抗・インダクタンス測定など、さらに鉄心単体の磁気特性評価も可能です。 本装置により測定した効率マップの一例を図2に示します。他にも、モータ損失、鉄損銅損の分離数値化、それぞれのマップなどの作成、提供も可能です。

200kWモータベンチによる評価

EVモータのベンチ試験に要求されるお客様のニーズは多種多様であり、当社では図3に示すように外部の協力機関と提携することでサービスの強化を図っています。これにより200kW級大型試験ベンチの使用も可能で、質的量的にもお客様のニーズにお応えしております。

  • 装置: 200kW級モータ試験ベンチ
    構成例: ダイナモメータ、トルクメータ、インバータ、バッテリー、回転位置検出センサ(レゾルバ)等
  • 測定対象
    • 200kW程度以下のモータ+インバータ(持込みも、エミュレータ使用も可)さらに高出力も対応可能です。
    • モータ取付治具、カップリング等は都度製作いたします。
  • 測定可能なモータ特性例(性能試験、耐久試験)
    (1)通電試験: 最大トルク700N・m、最大回転数20000rpm
    • 効率マップ ・トルク-回転数-電流特性
    • 銅損/鉄損分離 ・電圧・電流・磁束波形測定
    (2)無負荷特性、オフベンチ測定:
    • コギング、ロストルク、逆起電力、抵抗、インダクタンス等
    (3)振動測定、温度環境測定等もご相談に応じて実施可能です。
  • モータ関連分析・評価・試験のワンストップ対応
    • (1)解体調査 (構造、採寸、部材の分析、材料試験、磁気測定)
    • (2)CAE解析 (3Dモデル、トルク、損失等リバース解析、熱解析)
    • (3)環境試験等 (CCT、SST、加振試験、応力分布、通電破壊)

モータの振動評価技術

モータで動く電動車(EV / HEV)は、従来のエンジン車に比べて低振動ですが、従来車では問題とならなかった振動が問題となることがあります。例えば、電動パワーステアリング(以下EPS)や、エアコンのコンプレッサーなどの振動は、従来車ではエンジンの振動に埋もれてあまり問題となりませんでしたが、EV / HEVでは問題となることがあります。このようなことから、モータの振動はこれまで以上にクローズアップされてきています。

モータの振動を解析することで、「モータの回転が直接原因である振動」と「機械的構造による共振」を区別して把握することができます。その例として、EPSなどに用いられる埋め込み型磁石モータ(以下IPMモータ)の振動を解析した結果について紹介します。解析したIPMモータは、写真1に示すモータ試験装置で駆動しました。トルクを一定とした状態で、回転数を500rpmから3000rpmまで毎秒+5rpmで増加し、モータケースに取り付けたセンサーで振動加速度を測定し、FFTアナライザーによりトラッキング解析をおこないました。その結果を図に示します。

  • 図中に赤矢印で示した斜めの直線上で振動加速度が増加しています。これはモータの回転数に比例して振動の周波数が増加していることを表し、モータの回転が直接原因の振動です。また、図中の青矢印の周波数範囲でも振動が増加しています。この範囲はモータの回転数には関係なく、モータおよび試験装置の機械的構造に起因する共振周波数を表しています。

モータ稼働時の振動特性評価

時間周波数解析と実稼働解析

モータは様々な製品に組み込まれおり、製品の低振動化に伴ってモータ自体の振動特性が重要視されてきています。一般的な周波数分析による振動特性評価だけではわからない起動時や負荷変動時の過渡振動での問題の把握や、実稼働の挙動の把握も重要な課題となっています。当社は、振動特性評価を深化させており、これら全てに対応することが可能です。

時間周波数解析

起動時や負荷変動時などのある限られた条件のときだけに発生する過渡振動を評価するためには、周波数毎の加速度をグラフ化できる時間周波数解析が有効です。モータ起動時の時間周波数解析した例を図1に示します。起動時のみに加速度が大きくなる周波数があることから、過渡振動が発生していることが分かります。また、加速度が大きくなる周波数がいくつもあることから、この過渡振動を低減するには広範囲の周波数域での対策が必要なことも分かります。

実稼働解析

モータは共振を避ける設計がなされており、設計には共振する固有振動数の挙動を可視化する実験モード解析が有効ですが、稼働時の挙動を把握するには、稼働時の実振動値を用いる実稼働解析も必要です。同一モータの実験モード解析結果と実稼働解析結果を図2に示します。稼働時の挙動は、中央部が大きく振動する固有振動モードとは異なり、全体が複雑に変形しています。その結果、稼働時の振動を低減するには一部の共振だけでなく、全体の剛性を上げるなどの対策が必要であると言えます。

モータのエアギャップにおける磁束密度評価

モータのエアギャップ回転子固定子の空隙)における磁束密度はモータ性能と深く関連しています。特に埋込磁石同期モータ(IPM)はロータ外周部が透磁率の高い材料でできているため、磁気吸引力が大きくなり、振動や騒音が発生しやすいことが知られています。また、表面磁石同期モータ(SPM)と比べ、IPMはエアギャップ中の磁束密度分布にひずみ(高調波)を多く含みます。この磁束密度分布のひずみはモータのコギングトルクやトルクリップルを増加させ、振動・騒音の要因にもなります。そこで低振動・低騒音化の手段として、ステータおよびロータ形状を工夫し、磁束密度分布のひずみを抑制する最適設計がなされています。しかし、実用品モータでは設計・解析において再現困難な応力の影響が含まれており、エアギャップ中の磁束密度を実測することが重要となってきます。モータエアギャップ中の磁束密度評価技術当社におけるモータエアギャップ中の磁束密度評価は、写真1に示すような磁束検出コイル(薄いフレキシブル基板上に探りコイルを配置)をモータエアギャップに設置して測定します(写真2)。

図1、2はロータ外部駆動(SPM)によるエアギャップ中の誘起電圧波形および磁束密度波形です。磁束密度波形は比較的正弦波ですが、わずかに歪みが確認できます。当社の技術を用いることによって、今まで把握することが困難だったエアギャップ中の磁束密度を評価することが可能となり、モータの低騒音・低振動化に利用できます。

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