樹脂・複合材料の組成分析・構造解析
表面皮膜の剛体振り子試験
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表面皮膜のガラス転移温度を測定致します。また塗布薬剤の経時安定性を評価する事も可能です
ガラス転移温度測定の必要性と剛体振り子法の特徴
- 鋼、アルミ、樹脂、ガラス等の性能向上を狙い、様々な皮膜を表面にコートした商品の研究開発が進められています。表面皮膜の性能は、ガラス転移温度に依存するところが大きいため、研究開発を効率よく進める上で、ガラス転移温度を正確に知る事は非常に重要です。ガラス転移温度の測定は、表面皮膜を削り取りDSCにて測定する手法が知られていますが、皮膜が薄い場合には試料採取が困難となります。また、ガラス転移温度が明瞭に検出されないため読み取りにノウハウが必要でむずかしい測定でした。
- 剛体振り子法では皮膜を削り取る事なく、表面コート材のままで測定が可能です。さらに明瞭にガラス転移温度が検出されます。
塗膜用薬剤の塗布前保管経時安定性評価の必要性と剛体振り子法の特徴
- 防錆あるいはシール等を目的に薬剤を塗布するケースが多くあります。薬剤は、塗布するまでに数ヶ月以上保管する事も多く、経時劣化により所望の性能が発現しない場合もあります。このため塗布薬剤が本来の性質を有しているのか否かを確認したいというニーズは少なくありません。
- 剛体振り子試験において、エッジタイプの振り子を使用することにより、塗布薬剤が塗膜を形成するまでの粘弾性の変化を調査する事が可能です。薬剤がエマルジョンの場合には、樹脂粒子間の融着開始温度が、硬化樹脂系の場合には、硬化開始温度等が測定できます。比較剤として劣化していない薬剤についても測定し、保管された薬剤の劣化状況を評価いたします。
剛体振り子法とは
- 剛体振り子法は、表面皮膜上で温度を変化させながら、丸棒形状の支点を有した振り子を振る事により、皮膜の内部摩擦を測定する手法です。
剛体振り子法(エッジタイプ)の概要
- 剛体振り子法は、塗布薬剤上で温度をパラメーターにして、エッジ形状の支点を有した振り子を振り、塗布薬剤が塗膜を形成するまでの振り子の周期の変化から薬剤中の粘弾性要素の変化を調査測定する手法です。
表面皮膜のガラス転移温度測定事例
表面皮膜のガラス転移温度測定原理と測定
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振り子の振れ幅の変化を検知する事により表面皮膜の対数減衰率[粘性要素/弾性要素]を測定します。
対数減衰率が最大値を示す温度がガラス転移温度です。振り子の円柱ころがり(一定周期で温度変化)
↓
表面皮膜の対数減衰率[粘性要素/弾性要素]の変化
↓
内部摩擦の変化
↓
振り子の振れ幅が変化 -
亜鉛めっき鋼板上のエポキシ樹脂系皮膜のガラス転移温度測定事例 (膜厚:3μm)
塗布薬剤の経時安定性評価事例
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△=[ln(A1/A2)+ln(A2/A3)+...+ln(An/An+1)]/n
△:対数減衰率
A:振幅
n:波数 -
粘性要素に対する弾性要素の比率が0.1以上となる温度
50℃×20日保存した薬剤 約20℃以上 冷蔵保存した薬剤 約60℃以上 ⇒50℃保存により塗布薬剤内での成膜反応が進行しており、経時劣化したものと推定できます。
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