磁性材料、モータ評価

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軟磁性材料の磁気特性評価

軟磁性材料(軟磁性体)とは

磁化しやすく(高透磁率)、保磁力が小さいことから磁界の変化によく追従する材料です。

  • 主な軟磁性材料:電磁鋼板(ケイ素鋼板)、鉄粉、パーマロイ、ソフトフェライト、純鉄、アモルファスなど
  • 主な用途:モータ、トランス(変圧器)、発電機器などのコア(磁心)、磁気 ヨーク(継鉄)、磁気ヘッド、磁気シールドなど

軟磁性材料の評価・試験

軟磁性材料の試験方法

エプスタイン試験

エプスタイン試験とは

エプスタイン試験とはJIS C 2550に規定されている電磁鋼板の磁気測定試験です。

主に、30mm×280mmの短冊状の試料を図のコイル枠の中に井桁状に入れていきます(下図)。使用する枚数は材料の板厚により、0.5mmで16枚、0.35mmで24枚となります。コイル枠は同じ巻数の1次コイル(励磁)と2次コイル(誘起電圧)で構成され、直流や交流の励磁をおこない、磁気特性(B-H曲線ヒステリシス損鉄損など)を測定します。

エプスタインフレーム

当社では様々な周波数に対応した測定枠を揃えており、商用周波数から可聴・高周波(100kHz)まで測定が可能です。

測定事例

高磁界強度条件での直流エプスタイン磁気測定 [事例集PDF]

単板磁気特性試験(SST:Single Sheet Test)

単板磁気特性試験とは

単板磁気特性試験(SST試験)とはJIS C 2556に規定されている、商用周波数における電磁鋼板の鉄損特性、交流磁化特性を測定する方法です。測定方法は図に示すように、板状試料を継鉄ではさみ、Hコイル法または励磁電流法によって試料を励磁します。さらに、コイル枠内部に設置してある2次コイルで誘起電圧を検出し、試料の磁気特性(B-H曲線、ヒステリシス損、鉄損など)を測定します。

当社では100mm幅の大型試料から最小5mm幅の小型試料まで対応可能な単版枠を揃えております。

リング試験片の磁気特性

リング状試験とは

材料自身で磁気回路を閉じることにより、反磁場の影響を減らして磁気測定が可能です。ブロックや板状試料から環状(トロイダル状)の試験片を採取し、1次巻線(励磁コイル)および2次巻線(検出コイル)を行います。

微小単板磁気測定(µ-SST:Micro-Single Sheet Test)

電磁鋼板の磁気特性評価は試料サイズ30mm×280mmのエプスタイン試験や、試料サイズ100mmまたは50mm×280mmの単板磁気測定が主な方法ですが、実際の小型モータやトランスから採取できる微小試験片では、これらの測定枠を用いて測定を行うのが不可能であるのが現状です。

当社では、この問題を解決した微小試料単板磁気測定装置(µ-SST:Micro Single Sheet Test)を導入し、測定可能範囲拡大を図っています。

当装置は、5mm×25mmの試験片サイズまで測定可能な試験枠であり、特定周波数での交流磁気測定評価ができます。

微小単板磁気測定機の仕様

  • 微小単板磁気測定機の試験枠
    標準試験片サイズ 5mm幅×25mm 長さ
    試験片長さ 25~60mm
    試験片幅 5~15mm
    最大印加磁場 10,000A/m
    測定項目 磁束密度、鉄損
  • 微小試料単板磁気測定装置と試料部分の拡大写真
    微小試料単板磁気測定装置

軟磁性材料の評価・試験事例

高周波域の交流磁気特性評価

インバータ技術の飛躍的な進歩により、小型モータやセンサコアなどの使用周波数域も高くなっています。

当社の交流磁気特性試験装置は大容量電源を備えており、大型コアなど最大200kHzで測定することができます。

また、小型コアを対象としたB-Hアナライザは、最大1.0 MHzまでの交流励磁が可能であり、低損失化や高性能化には欠かせないコアロス評価や高周波磁気特性を評価することが可能です。長年蓄積された磁気測定の経験と巻線技術で小型コアや異型コアなど様々なコアに対応いたします。

評価内容

装置概要

高周波域(~1.0 MHz)での磁気特性を高確度で測定するB-Hアナライザ。

対象 電磁鋼板、フェライト、アモルファスのコア
項目 コアロス(コア損失)、B-H曲線、振幅透磁率など

測定事例

軟磁性材料の高磁場直流磁気測定

高磁場枠による高磁場域の直流磁気測定

従来の測定枠では印加磁化力約10kA/mまでの測定が限界であり、電磁鋼板の場合、磁化曲線の飽和状態を見ることができませんでした。

当社では特殊な高磁場測定枠を使用することによって、最大80kA/mまでの直流磁気測定が可能としました。

評価内容・事例

  • 装置概要
    装置 直流磁化特性試験装置、高磁場枠、電磁石
    対象 軟磁性材料(板状)
    項目 B-H曲線、透磁率
  • 高磁場枠
    軟磁性材料用高磁場枠

応力印加磁気特性評価

電磁鋼板の応力印加単板磁気測定

製品モータにおけるコア(鉄心)では、打抜き、積層、固定(かしめ、溶接、接着)、巻線、焼きばめ、圧入などで素材である電磁鋼板に応力が掛かり、磁気特性を劣化させる要因となっています。

応力印加磁気測定では、板状の電磁鋼板に引張圧縮応力を印加し、そのときの磁気特性を評価します。

金属箔材の磁気特性評価

箔状での直流・交流磁気特性評価

箔状の軟磁性材料はその特徴である薄さ(数十µm)により磁気特性評価を困難なものにしています。

当社では電磁鋼板の製造メーカーの関連会社として、長年、軟磁性材料の特性を評価してきた経験や種々の測定ノウハウを所持しています。それらを活用し、アモルファス薄帯(アモルファス箔)に代表される箔状の軟磁性材料の磁気特性、損失を測定・評価いたします。

評価が可能な軟磁性箔材の例

  • 装置概要
    • Co-Fe-B-Si系(アモルファス薄帯)
    • Fe-Ni系(パーマロイ箔)
    • Fe-Si系(磁心材料)
    • Fe-Si-B系(高磁歪材料)
    • その他金属箔、リボン状の磁性材料 
  • アモルファス薄帯写真
    アモルファス薄帯の一例

評価内容

測定方法 測定項目
直流磁気測定 直流B-H曲線、飽和磁束密度、透磁率、ヒステリシス損
交流磁気測定 交流B-H曲線、鉄損、渦電流損失

測定事例(直流磁気特性評価)

作業の流れ

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