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遅れ破壊・水素脆化(水素脆性)試験

素材、各種部材の水素脆化感受性を評価し、遅れ破壊試験を実施いたします。

水素脆化の評価には定まった基準がなく、お客様の用途に応じて種々の技術を組み合わせて感受性評価を行っています。当社では各種の品種対応、各種の水素脆化感受性評価を大きく網羅できる評価試験技術を有しており、精度よくお客様のご要望にお応えしております。

また、金属材料の脆化、「遅れ破壊」の要因と考えられている拡散性水素を、拡散性水素分析装置を用いて分析・評価いたします。

さらに試験結果を元に、CAE(数値解析)による水素拡散・脆化シミュレーションも承ります。

試験機写真
SSRT試験機

水素脆性とは?

水素は燃焼後に水蒸気しか発生しない究極のクリーン燃料と言われ、水素利用技術の開発が自動車会社様を中心に盛んに行われています。しかしながら水素の原子は非常に小さいため、材料の中を拡散・集積しやすく、集積すると、程度の差はあれ、材料を急速に脆化させることが知られています。これが水素脆性です。

水素脆化評価試験メニュー

遅れ破壊が旧くから問題になっているボルトの評価試験や、石油採取環境下で問題となる主として鋼管のNACE試験、鋼材のハイテン化対応のためのSSRT試験、浸漬試験など、各種の評価に対応いたします。

分野 試験方法
ボルト 旧JIS法 片持梁り
*Hc/He 定荷重
*SSRT 陰極ch引張
*CSRT 陰極ch引張
PC鋼棒 FIP試験 定荷重
鋼管 NACE法 Cリング、DCB、HIC、シェルベンド
定荷重
溶接部 Pc低温割れ y割れ
薄板 U曲げ 酸浸漬
【試験例】環境:5%HClなどへのUベンド浸漬で100H
破断有無:1500MPa定荷重2H破断有無など
4点曲げ 陰極ch浸漬
【試験例】5%HClなどへのUベンド浸漬/CCT(陰極ch有無)で100H破断
または破断時間評価など
厚板 SSRT 陰極ch引張
ばね CSRT 陰極ch引張

* 薄板にも適用

  • 遅れ破壊試験機写真
    定荷重引張遅れ破壊試験機
  • SSRT試験機写真
    SSRT試験機
  • FIP試験機写真
    FIP試験機

定ひずみ遅れ破壊試験

  • どの程度の時間で割れが発生するかを計測する試験
  • 定ひずみ法の応力負荷方法

定荷重遅れ破壊試験

定荷重を負荷して、試験片が破断する時間を計測する試験

低歪速度引張遅れ破壊試験(SSRT)

水素チャージ後、またはチャージさせながら、低速度で引張試験することにより、耐遅れ破壊性を定量的に評価いたします。
(引張速度:0.0005 ~ 10 mm/min)

※ SSRT:Slow Strain Rate Technique

試験イメージ
低歪速度引張(SSRT)
遅れ破壊試験イメージ

その他のSSRT試験事例

拡散性水素の分析・評価例

大型試料・高含有試料の拡散性水素分析

常温で固体中を移動可能な拡散性水素は、金属材料の脆化、「遅れ破壊」の要因と考えられており、特に高強度材料にとって大きな問題となります。当社では、水素脆化に影響を及ぼす拡散性水素量をボルトやギアなどの部品そのままで分析することが可能となりました。

拡散性水素分析装置の特長

  • 大型・高濃度試料への適用が可能です。
    本装置は、迅速な昇温と冷却が可能な赤外線加熱炉と、より高温域(~1100℃)での測定が可能な電気加熱炉の2種類を備えています。
    測定濃度範囲は0.05~1000ppm程度であり、赤外炉には最大で24mmφ(角型:18×18mm)×40mmの大型試料を導入可能です。
  • 試料加熱時の水素ロスがありません。
    真空加熱方式の装置に見られる、加熱開始前の水素の揮散がありません。
  • さまざまな昇温パターンを選択できます。

さらに詳しい情報はこちらから

高圧水素暴露試験法

高圧水素暴露試験

高圧水素ガス雰囲気中で金属試料に水素を吸蔵させる方法です。

試験機仕様と試験方法

オートクレーブ試験機

  • 温度:室温~232℃
  • 圧力:~10MPa
    (混合ガスへの対応についてはお問合わせください。)
  • 容器サイズ:Φ180mm×高さ450mm(約11L)

試験方法

  • U曲げ試験:応力を付加(U曲げ)した状態で水素暴露
  • 引張試験:水素暴露後にオートクレーブから取出して引張試験(SSRT試験(低歪み速度引張試験))
  • その他: 組立部品などをそのまま水素暴露できます。
オートクレーブ試験機写真
オートクレーブ試験機

さらに詳しい情報はこちらから 高温高圧水素暴露による水素脆化試験 [事例集PDF]

低温水素トレーサー分析法

低温水素チャージ法

従来の陰極チャージ方法では、電解液が凍結するため、0℃以下の低温で水素を鋼材中に入れることは非常に困難でした。

凝固点が低い非水系有機溶媒を利用することにより、高圧水素暴露に代わる低温での水素チャージ方法(カリウムアルコキシド法)を開発しました。

模式図
カリウムアルコキシド法 模式図

鉄鋼材(SCM435H)の薄片の分析事例

カリウムアルコキシド法を用いた鉄鋼材(SCM435H)の薄片(0.5mm厚)に対して、水素トレーサー分析を行い、鋼材中の格子欠陥への水素侵入挙動を調べました。

低温の場合と常温の場合で水素トラップサイトへの侵入挙動が異なることがわかりました。低温の場合は、常温と異なり、高温側にピークを持ち、より深い水素トラップサイトに選択的に侵入している可能性があります。

この技術を利用することにより、低温域での遅れ破壊メカニズムの一層の解明が期待できます。

  • 常温チャージ
    常温チャージ(RT)の水素プロファイル
  • 低温チャージ
    低温チャージ(-40℃)の水素プロファイル

さらに詳しい情報はこちらから 低温水素トレーサー分析法 [事例集PDF]

陰極水素チャージ疲労試験

陰極水素チャージ法

電気化学的に水素を電気分解することにより、金属試料片表面に水素を発生させ、水素を侵入させる方法。

陰極水素チャージ疲労試験の特徴

  • 鋼中に水素を侵入させた材料の疲労特性を取得します。
  • 試験期間中連続して陰極チャージを行うことにより、水素の放出による鋼中水素量の減少を防ぐことができます。
  • 試験後サンプルの水素分析を行うことにより、水素量と疲労強度の関係を評価できます。
試験部図
試験部の概略図
  • 試験状況図
    試験状況の概略図
  • S-Nカーブ図
    S-Nカーブのイメージ

さらに詳しい情報はこちらから 陰極水素チャージ疲労試験 [事例集PDF]

CAE解析による水素拡散・脆化シミュレーション

長年蓄積された流体・構造・電磁場解析の豊富な経験・知識により、CAE業務を支援いたします。

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JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部
0120-643-777

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